背景のない ショート・ショート(2)
「そろそろそれ、やめてもいいと思わない?」
「何をですか?」
「その、敬語よ。何だかいつまでも私に遠慮してるみたいじゃない」
「遠慮はしてませんけど?」
「んじゃ、名前呼ぶとき呼び捨てにしてよ。りかっ て」
「そ、そんなこと出来ないですよう」
「なんでよ」
「と、年上だし」
「それ禁句」
「うっ・・・ す、すみません」
「ほらぁ、そのへんもすごく気使ってるみたいに聞こえるっ
ねぇ?二人だけの時くらい、もっと距離を縮めようよ」
「でも、呼びすては出来ませんよぉ」
「だめ、言って」
「ぜったい無理です」
「りか って呼ばないなら返事しない」
「またっ 我侭言わないで下さいよー」
「敬語はヤダって言ってるでしょ
そんなんだと、私がいつまでも甘えにくいじゃないのよ」
「い、いやもう充分甘えまくってるじゃないですか・・・」
「もっと甘えたいのよっ」
「そんなあ」
「ほら、り か。 言ってみ!」
「り・・・か・・・さん」
「さん、いらない」
「だって恥ずかしいじゃないですか」
「今さら何照れてんのよ」
「じゃ、じゃあ! り か・・・ちゃん!」
「ダメ」
「せめてちゃん付けで勘弁して下さいよー」
「ちゃん、なんて可愛くしないで。オトナの関係でいきたいの」
「んじゃあ ちょっと 時間下さい」
真剣な顔して深呼吸。
そんなにたいしたことかね。
「やっぱ恥ずかしいから・・・ちょっと目つぶって下さい」
「いいわよ」
「・・・甘えていいよ りか」
耳元で優しく。オプション付きでの囁きは、モロに男役の低音発声。
不意打ちくらったりかさんは目を丸くして笑いをこらえてます。
自分でやっておいて撃沈してるたにちゃん。耳から湯気出てますよ。
なりきりタイプはここでもお役立ちです(?)。
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