Side-R
タイミングが合わなかったり、
すれ違いが続いて、
ひとりきりでいる時間のなかで、
想いだけ膨れちゃって、
不安な夜が続いてたって。
あなたがそう言った。
だから今夜は
一晩中抱いていてあげる。
抱きしめる手をじらしてる私に
ちょっとだけ拗ねたフリして、背中を向けてても
ドキドキは聴こえてるのよ。
もどかしさに負けて見せる泣き顔も、たまにはいいけど。
「瞳、つぶって」
素直に閉じられる黒い瞳。
キスを待つ唇。
そっと指で触れて
柔らかく唇を重ねる。
「これは今日の分」
「え?」
「そしてこれは昨日の分」
チュッ と音をたててもう一度キス。
「今日まで出来なかった分のキスをあげる」
「そんなの数えてらんない」
笑窪が浮かべて笑うあなた。
私はかまわずキスを繰り返す。
愛しさを込めて。
頬を寄せて、どちらともなく抱きしめる。
鼻のアタマがくっついちゃうくらいの距離。
「あんまり近すぎると、顔がちゃんと見えないね」
「寄り目になってない?」
「わかんない」
ふふっ と笑いあう。
その無邪気な笑顔も私だけのもの。
私の笑顔もあなただけのもの。
なめらかなシーツの上
柔らかいブルーブランケットに包まって
ぴったりと身体を重ねあって
このままふたり溶けてしまいそう。
ね。もう離れられないね。
「明日の分のキスもしておこうか?」
「やだ いらない」
「なんでよ」
「明日の分は明日もらうもん。
それにまだ・・・」
「今日の分、足りてないよ・・・」
どれくらい好き?だなんて
野暮な量り方はしなくていいの。
ただ一つ言えるのは
明日の朝も
今の気持ちは変わりはしないということ。