ホワイトメタル キット 製作記

バンダイのEXシリーズ、1/1700「アークエンジェル」を製作しました。
噴射口やカタパルトなど、主要部分にLEDを組み込み、発光状態にすることができます。


ガンダムSEEDに登場する宇宙戦艦です。
ガンダムシリーズに登場する戦艦の中では一番気に入っていたので、一度作りたいと思っていたのですが、一時期、模型が見当たらなくなっていました。
最近再版されたようで、ようやく手に入れることができました。
そのまま組み立てても素っ気ないので、発光ギミックを組み込むことにしました。
資料は、息子から借りたDVDで済ませ、細部は思い入れで仕上げてありますので、設定とは異なる部分があります。




まずは、秋葉原の部品屋さんで、適用なLEDを探すところから始めます。
それでは、製作を始めましょう。

≪電子部品調達≫
秋葉原で探してきた部品類。
左から、コネクタ♀・コネクタ♂・5Φ高輝度青色LED・5Φ高輝度オレンジ色LED・3Φ黄色LED・抵抗2種。

LEDは、色や輝度によって適正電圧が異なるので、それぞれに応じた抵抗が必要になります。
高輝度青色LEDは3.6Vなので、単3電池を3本使用することに決め、4.5V電源で抵抗値を算出しました。
LEDは、並列になるように配線を行ないます。

最近は、大きな模型屋さんなどでも、LEDキットを扱っているようですので、入手しやすくなっています。


≪コネクタの組込み-1≫
キットには、スタンドが付属しているので、スタンドに電池ボックスを組み込み、アークエンジェルを載せると発光するようにします。

コネクタには、電子基板用の2極コネクタを利用します。
スタンドの足の部分にオスのコネクタを接着し、機関部底部には、コネクタのピンの位置に合わせて小さな穴を開けます。
この穴に合わせて、機関部船体内部にメスのコネクタを接着します。
この時、スタンドに船体を載せた状態で接着し、ズレがないように注意します。

コネクタ類は接着が効かないので、まず瞬間接着剤で仮止めし、エポキシ接着剤などで周りをしっかり覆うように固めます。


≪コネクタの組込み-2≫
スタンドからは、オスコネクタのピンが2本出ています。
アークエンジェル本体(機関部船体底部)には、小さな穴が2個開くだけですので、スタンドから外した時も、ほとんど気になりません。

コネクタにリード線を取り付ける時には、専用工具が必要ですが、リード線をハンダ付けしてしまえば、ラジオペンチでも十分加工が可能です。


≪スタンドの製作≫
キットのスタンドには、電池を入れるスペースがないので、自作することにします。

ちょうど単三電池3本が入る大きさのプラスチックケースが見つかったので、これをベースとしてスタンドに取り付けることにしました。
電池ボックスは、タミヤの工作シリーズの物を利用しています。(右写真は裏から見た状態)

電池ボックスを接着し、スイッチなどを配線したら、コネクタ部分にマスキングして、塗装を行ないます。
塗装は、ガンメタと艶消し黒のツートンにしてみました。
最後にスイッチをケースに取り付けて、スタンドの完成です。


≪メインノズルの加工≫
6個あるメインノズルに、5Φの高輝度青色LEDを組み込んで、噴射の雰囲気を再現することにします。

キットは、ノズルの底の部分に突起形状があるので、その部分に同じ径の穴を開けて削り取ってしまいます。
写真右がキットの状態、左が穴を開けた状態、中央がLEDを組み込んだ状態です。

LEDは、穴の径に合わせて外形を旋盤で削ります。
LEDの先端はドーム状になっているので、削り取ったノズル底の突起と同じ形状になるように、旋盤で加工します。
本来は、透明パーツなどを別に製作して、LEDは船体内部に組み込んでも良いのですが、透明パーツだけが光って見える感じになってしまいます。
LEDの光点をノズル内部に配置すればノズル内部全体が光って見えるようになると考え、LEDを加工することにしました。
この作業は、ヤスリやリューターなどでも可能ですが、LEDは、エポキシ樹脂でできており、割れやすいので、切削は十分に注意しながら行ないます。

LEDを点灯させると、こんな感じになります。(ノズルは未塗装)
光点がノズル内部にあるので、内側全体が光っているように見えます。
削った事でLEDが破損している可能性があるので、組込みの前には点灯検査を行なっておくようにします。


≪抵抗基板の配線≫
機関部底部に取り付けたコネクタに配線を行ないます。
すべてのLED用の抵抗9個をハンダ付けした小さな基板を用意し、コネクタのリード線に取り付けます。
LEDによって抵抗が異なるので、間違えないように注意して配線します。
今回は数が多いので基板を用意しましたが、配線の途中に抵抗を入れてしまっても問題ありません。

メインノズルは機関部船体にあるので、6個の青LEDは、リード線の長さを考えて、そのまま配線します。
先端形状を削ったLEDは、ショートを防ぐため、足をなるべく短く切ってハンダ付けします。
離れた場所にあるカタパルトと艦橋のLEDは、リード線だけを長めに配線しておきます。

機関部船体上下パーツの内側は、配線の邪魔になるリブやポストを削り取ってしまいます。


≪機関部船体の組立≫
コネクタと抵抗を組み込んだ機関部船体中央を組み立て、接着します。
さらに、配線が通るように内側を加工した、機関部船体左右パーツを接着します。

メインノズル用のLEDは、塗装がかからないようにマスキングしてから、塗装の邪魔にならないようにノズル取り付け部分に押し込んでおきます。

その他のリード線は、中央船体を通して配線するため、中央船体ウィング取り付け部分から出しておきます。

この状態で、パーツの合わせ目などを溶きパテで形状修正し、塗装しておきます。


≪艦橋LEDの組込み≫
艦橋の窓部分を削り取って、その形状に合わせて、透明プラ板で窓パーツを製作します。
窓パーツの内側は、光が映えるように、U字型に削ってあります。

艦橋内部は狭い隙間しかないので、LEDをヤスリで削って平たくして、前部パーツに差し込めるようにしておきます。
艦橋内部のリブやポストなども、邪魔な部分は削り取ってしまいます。
艦橋下部パーツには、リード線を通す穴をあけておきます。

それぞれのパーツは、光漏れを防ぐため、内側を黒で塗装しておきます。
LEDは、艦橋前部パーツに、エポキシ接着剤で取り付けます。
光漏れを防ぐため、接着後にLED後方を黒などで塗装しておきます。


≪艦橋の製作≫
LEDを組み込んだパーツに、後方部分のパーツを接着し、艦橋を組み立てます。
リード線は、首の部分から出しておきます。

窓の透明パーツは、塗装が終わってから最後に取り付けるようにします。
塗装が内部に入ってしまうことのないように、窓の部分には、ゴム板を加工したコマを差し込んで、スプレー塗装を行ないます。


≪カタパルトの製作-1≫
カタパルトパーツは、LED取り付け用の穴を開けてから、塗装しておきます。

使用する高輝度LEDは指向性が強いので、完成してから見えやすい内側のガイドを照らすように、左右とも少し内側を向くように取り付けました。

写真のように、左側のカタパルトでは、右側のガイドを照らすように、すこし右に向けてLEDの角度を決めます。

ガイドパーツを取り付けて、光り具合を確認しながら上下左右にLEDを動かして、角度を決めます。
今回はオレンジ色の高輝度LEDを使用しましたが、黄色でも良いかもしれません。


≪カタパルトの製作-2≫
LEDの角度が決まったら、リード線を配線しておいたLEDを瞬間接着剤で固定します。
取り付け穴がゆるい場合などは、エポキシ接着剤を使用します。

光漏れを防ぐため、後方に飛び出したLEDの部分は、シルバーで塗装しておきます。


≪ガイドレールの塗装≫
カタパルト左右に展開するガイドレールを塗装します。
設定では、この部分は濃いグレーになっているようですが、LEDの光が映えるように、シルバーで塗装し、溝をクリアイエローで塗装しました。

ガンダムの発進を再現するため、グリーンのインジケーターが途中までオレンジに変わっている状態に塗装しました。(写真手前)

反対側のカタパルト用のガイドレールは、オールグリーン状態にしてあります。(写真奥)


≪カタパルトデッキの製作≫
LEDを組み込んだカタパルトを挟んで、デッキパーツを組み立てます。
LEDのリード線は、中央船体への取り付け穴に通しておきます。

カタパルト部分の内壁などは、事前に塗装しておきます。
裏にあるノズルパーツも、この時点で挟み込んでしまわないと、後からは取り付けられないので、先に塗装してから接着します。
色の異なるパーツなどは、後から取り付けます。

この状態で合わせ目をパテで修正して段差をなくしてから、カタパルト内部やノズルにマスキングし、塗装を行ないます。
金型の関係で、下面中央部のパーツの合わせ目に溝ができるので、丁寧に修正します。
かなり高額なキットなので、この部分は別パーツにするなどの配慮が欲しかったところです。


≪中央船体の製作≫
LEDの配線が通せるように、パーツ内部のボスやリブを削り取り、必要な部分にはリード線を通す穴をあけておきます。
その船体にリード線を通した状態で上下のパーツを合わせ、接着します。

メインノズルのある機関部船体は既に組み立ててしまってあるので、後から嵌め込むことができるように、ウィング部分の差し込み固定用リブは1mm程度を残して削り取っておきます。

機関部船体に合わせ、右ウィングからは左右カタパルト用のリード線2組、左ウィングからは艦橋用のリード線を通してあります。
リード線は後から通すことができないので、間違って引き抜いてしまわないように結び目を作っておきます。

この状態で、パテ修正・塗装を行います。


≪船体の塗装≫
各部が組みあがったら、塗装を行ないます。

説明書によると船体は白なのですが、少し暗めの方が良いと思い、ガルグレーにしてみました。
パネルの切り替わる部分などは、ダークガルグレーを作って塗り分けしてあります。
細部なども思い入れで塗装してありますので、設定と異なる部分があちらこちらにあります。

組み立ててしまってからでは作業しにくいので、この段階でスミ入れやウェザリングまで施してしまいます。(ウェザリングは、今回が初挑戦でした。)


≪艦橋の組込み≫
塗装の終わった中央船体に、透明窓とアンテナ類を組み込んで仕上げておいた艦橋を取り付けます。

中央船体に通しておいたリード線に、艦橋のリード線をハンダ付けし、ヒシチューブで絶縁します。
接着してしまってからでは修正ができないので、ハンダ付けと絶縁はしっかり行ない、点灯試験をしてからパーツを接着するようにします。

消灯時には黒く見える司令室の窓は、点灯すると、このように黄色い光がもれてきます。
前方窓左右の桟は、0.3mmプラ板で製作し、接着してあります。


≪メインノズルの取り付け≫
機関部船体にメインノズルを取り付けます。

マスキングして内部に押し込んでおいた青LEDを機関部船体から引き出し、別に塗装しておいたメインノズルに差し込んで接着します。
LED後方は、光漏れを防ぐため、黒で塗装しておきます。
ノズル内部に露出したLED先端部分も、後方を塗装することで消灯時に黒っぽく見え、違和感がなくなります。

LEDの点灯を確認してから、ノズルを機関部船体に接着します。


≪メインノズルの点灯試験≫
この状態でも、点灯試験を行なっておきます。

電池ボックスを組み込んだスタンドに装着してスイッチを入れると、ノズルが輝きます。
ノズル塗装後初めての点灯ですが、思惑通り、中心部分は青白く発光し、ノズル内部は青い光が反射して見えます。

LEDはかなりの光量があり、明るいところでも効果は十分です。
高輝度LEDを使用したのが正解でした。


≪機関部船体と中央船体の接合≫
完成した機関部船体に、中央船体を取り付けます。
今回の製作中、一番の難所です。

左右の取り付け部分から出ているリード線を短めにカットして、対応する線どうしをハンダ付けします。 (+/−を間違えると点灯しないので、注意!)
配線すると、写真のような状態になり、狭い所でのハンダ付け作業となります。
ハンダゴテが船体に触れないよう、十分に注意しながら行ないます。

すべての配線を繋いだら、スタンドに載せてテスト点灯させます。
カタパルトのLEDは、まだ配線されていないので、電圧が来ていることを確認しておきます。
きちんと配線されていることが確認されたら、ショートしないようにヒシチューブで絶縁します。

LEDの点灯を確認したら、リード線を穴の中に少しずつ押し込みながら、機関部船体に中央船体のウィングを合わせます。 (リード線が長すぎると、押し込みにくくなるので、注意!)
機関部船体を少し開き気味にして中央船体を嵌め込み、垂直尾翼取り付け部分の外側から接着剤を流し込んで固定します。

だんだんアークエンジェルの形になってきました。
念のため、この状態でもう一度点灯確認を行っておきます。


≪中央船体とカタパルトデッキの接合≫
完成した中央船体の左右にカタパルトデッキを取り付けます。

前項同様、それぞれのリード線を短くカットして、対応する線どうしをハンダ付けします。
点灯を確認したら、絶縁を行い、リード線をカタパルトデッキの穴に押し込みながら、パーツどうしを接着します。

LEDの配線はこれで終了です。
スタンドに載せて、すべてのLEDが光ることを確認します。


≪主翼と尾翼の取り付け≫
完成した船体に、別に仕上げておいた主翼と尾翼を取り付けて接着します。
接合部分には、スミ入れをして仕上げます。

本体はこれで完成です。


≪アークエンジェル完成≫
別に仕上げておいた、取り外し式の小物パーツを取り付け、スタンドに載せれば、いよいよアークエンジェルの完成です。

ストライクガンダムは、ガイドレールのインジケーターに合わせ、カタパルトから飛び立つ直前の状態にしました。
キットのストライクガンダムは直立しているので、腰・膝・踝・肩・肘を切り離してから、前かがみの射出姿勢になるように接着します。
この段階では、機体はフェイズシフト前のグレー状態なので、オレンジLEDの光が映えるように、シルバー系で塗装しました。
腰から伸びる動力パイプは、エナメル線を利用しました。

塗装が面倒で、他の機体は手付かずのまま・・。


「ストライクガンダム、行きま〜す!」




≪オマケ≫


息子に頼まれて、MGディスティニーガンダム頭部にLEDを組み込みました。
LEDが入りそうなスペースは頭頂部しかありません。
LEDの足を曲げて、入り組んだ細い隙間を通します。(写真左)
目と頭部のカメラは透明パーツなので、光が通ります。(写真中央)
後頭部のカメラは、穴を開けて透明プラ板を嵌め込みました。(写真右)

胴体内部には、ボタン電池を入れるスペースがないので、スタンドに電池を組み込むことにしました。

LEDのリード線は胴体内部を通して、背中の接点に配線してあります。(写真左)
スタンドには電池ボックスを取り付け、リン青銅でスプリング状の接点を作ります。(写真右)
スタンドにガンダムを載せると接点が接触し、頭部が光ります。
※あくまでも息子の作品なので、塗装はしてありません。