ソフィア・コッポラさんによれば、アカデミー賞授賞式の会場で成功する装いの秘訣とは、
「A dress that looks as though you might actually wear it in real life -- and no borrowed jewellery.」
なのだそうですが・・・・・。

 上の文はTimesOnLineの、アカデミー賞授賞式でのファッションについて書かれた記事からの引用です。筆者はリサ・アームストロング さん。タイトルは、
 「Who looked like a million dollars・・・and who didn't」
 評価額でモノを言ってますね、人間に対して・・・。こういうところがハリウッドなのでしょうか。
 全体にちょっと皮肉っぽくて面白い記事でしたので、少し訳して見ました。

   「第77回アカデミー賞授賞式 アームストロング女史のファッション・チェック」
 Kobantoの「おネエ語訳抄訳・落語台本付」です。

  アームストロング女史 「はじめまして。わたくし、リサ・アームストロング。今年のアカデミー賞授賞式でのファッションについて、ちょっとひとこと言わせてもらいたいの。聞いてくれるわよね?」
Kobanto 「ええ、ええ、そりゃもう、よろこんで。」 

   あのソフィア・コッポラのアドバイスがきいたのかしら。今回の授賞式には、信じられないほどの粗野なカンジっていうのはなかったわね。
 そのかわり、信じられないような前宣伝はあったわ、Kate Winslet よ。
 「私はブランドになんか興味がないから、何時間もかけてお洋服のラベルを切り取るし、自分の見映えなんかゼェ〜ンゼン気にかけてないって、いつもレポーターたちに言ってるのよ。」って、・・・・・・・言うわよネエ。
 彼女があの日10万ドルはしそうな、マット・シルバーとワニ皮のLana Marksのイブニング・バッグを持って、赤いカーペットの上を必要以上にゆっくりと歩き回っていたのは、その「いかにもスター風の豪華な衣装への嫌悪感」を克服するためだった・・・・・・・ってことなのかしら?

Kobanto 「じゅうまんどるというと・・・ま、まさか、いっせんまんえんいじょう?」
女史 「あったりまえじゃないのサ。」

 それからあのBeyonce Knowles。エジプトのミイラを思い出しちゃったわよ。生前持ってた財宝を全部身につけて発掘されましたって感じじゃない?ちょっと盗掘でもされた方がよかったと思うわ、悪いけど。

   ざっと見たところでは、今回のアカデミー賞授賞式は、救いがたい悪趣味に欠けてたのが特徴だったと言えるかもしれないわね。キャサリン・ゼダ・ジョーンズがいなかったからかしら?
 ま、いずれにしても、過剰な野望で飢餓状態の人たちが集まるところには、どうしても、ある種の安っぽさがつきまとうものだっていうことよね。
   それにしても、女優さんたちはどうしてあんなに着心地悪そうにしてるのかしら。 Gwyneth Paltrow なんか、Stella McCartneyのドレスで胸をほとんど押しつぶしてたけど、そんなに胸がイヤなのかしらね。
 それにまた、彼女たちのあの青ざめた、精神分析医の興味の対象になりそうな体型・・・。横向きみたいに見えるわよ。
 ま、それがハリウッドなのよね。限度ってものがなくて、いつも止まるところを知らないの。真剣にやってるのに、いつもばかばかしい所に行き着いちゃうし、テイストはあるのに結局ゴミになっちゃうのよ。

 聞くところによると、最近はデザイナーの方も、衣装提供に消極的になってるらしいわ。そりゃそうよね、1ヶ月かけて手縫いで仕上げた15万ドルのドレスを用意してたところへ、他の女優さんに25万ドルのを着て出て来られちゃったら、たまったもんじゃないでしょうね。15万ドルの方はGAPの服でも着てるような気分になるわよ。
 デザイナーにしたって、自分のデザインした服を、女優さんたちにどんな風に着こなされちゃうのか分からないんだから、冒険よね。例えばどんな髪型でその服を着られてしまうのか、分かったもんじゃないんだから。
Kobanto 「・・・・はあ、なるほど、よく分かりました。」
女史 「ま、アンタには縁のないハナシだけど、たまにはOSCAR.comでも見て、おベンキョウなさ〜い。」
Kobanto 「はい、それじゃ、今日はこのへんで。ありがとうございました。」


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Kobanto 「あ〜、くたびれた。女史の話はおもしろいけど、お付き合いするってえのは骨が折れるなあ。」
(ガラガラガラ・・・・)
Kobanto 「ごめんなすって。親方、こばんとです。」
大番頭親方 「おう、小番頭か、よく来たな。何の用だ?(レースは5月からなのに)」
Kobanto 「へィ、実は今日腕強アームストロング女史にいろいろと、ものごとをおすわったもンですから、ちょっと親方のお耳にも入れようかと・・・。」 
大番頭親方 「ほゥ、そいつァおもしろそうだ。」
Kobanto 「え〜、聞くところによりますと、品川の沖のずうっと向こうに、アメリカてエお国があるそうでして・・・」  
大番頭親方 「ほう、アメリカ藩か。」
Kobanto 「え?・・・まあそういったところで・・・。それでそのお国にはハリウッドとかいう、たいへんに結構なところがあって、年に一度そこの看板役者達が集まって衣装あらそいてえ事をするそうです。」
大番頭親方 「なかなかいい趣向じゃねえか。」
Kobanto 「それで今年の衣装のハリウッド好みは、ご老中水野忠邦様のポリシーに似ているとか・・・」
大番頭親方 「ふむ、ぜいたく品はご禁制・・・だからぜいたくな物でも、じみ〜な外見に仕立てるってエわけだ。それならウチ(河内丸チーム)も負けちゃいねエぜ。」
Kobanto 「ま、負けちゃいないって・・・親方、何の事です?」
大番頭親方 「ほかでもねえ、小番頭!そいつらにお前のライジャケ見せてやれ!あれァとてもじゃねえが、8千円もしたとは思えねえ。どう見ても、難破船から拾って来たようにしか見えねえシロモノだ。」
Kobanto 「エーッ?!それだけはちょっとカンベンしてくださいよ。それにこう言っちゃなんですが、親方が去年の秋まで着ていたウエットスーツ。あれなんか、まるで難破船から拾ってきたゾウキ・・・・」
大番頭親方 「おっと!客が来たようだ。小番頭、すまねえが失敬するぜ。・・・・・・・・・・・おや、これはこれは銭形の親分・・・・」

 というわけで、結局じゃまものにされてしまった小番頭は、相模湾沿いの街道をトボトボと、途中でセブンイレブンに寄ったりしながら帰って行ったのでした。

        オスカーは 移りにけりな 年ごとに
          おおゴージャスと ながめせしまに

 おあとがよろしいようで。
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*ライジャケ=ライフ・ジャケット、救命胴衣のこと。
*河内丸=大小番頭の乗っているヨットの名前。種類はスナイプと言います。

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