1)マストの中心を通り、フネのタテ中心線に対して直角になるように、
デッキの上に定規または棒を置く。
2)その棒は、膨らんだパイ皮の上にあって、パイ皮(デッキ)とマストが
交差する点が、パイの膨らみの頂点になる。その頂点を仮に「T点」とする。
3)T点のマストステップ・フィッティングからの高さをA、
T点のシアーラインからの高さをBとする。
4)マストステップ・フィッティングからシアーラインまでの長さCは、
A−B=C となる。
5)「B」は、図のようにして測ったB’とB”の平均値とする。
RS親方が測ったのがB’で、大番頭さんが測ったのがB”です。
6)そして突然どこからかクマが現れて、Aを測りました・・・。
カモになったりクマになったり、大番頭さんご苦労様です。
この作業の4)で出てくる「C」の値が、ルールブックの27.2で言われている
「シアーラインからマストステップ・フィッティングまでの深さ」です。
河内丸の場合は、Aが453ミリ、Bが118ミリでした。
ということは、A−B=Cなら、453−118=335ミリ、つまり33.5センチです。
あれ?ルールブックでは、この値が39センチ以上40センチ以下でなければならないはず。
河内丸はルール違反なのでしょうか?
もちろんルール違反ではありません。河内丸はこのルールが適用される2001年1月より
ず〜〜っと以前(15年ほど以前)に作られたフネなのです。
大番頭さんの解説を読んでください。
ねらいはマストにシアーラインのマークを付ける事です。(古いフネでは建造する時点での
シアーラインの位置が決められていないので、位置を発見してマークを付けるわけです:Kobanto注)
このマークさえあればルール上のブラックバンドの位置は、そこからブラックバンドの高さを
計ればいいだけです。
この方法で算出した寸法は335mmでした。これがこのフネのシアーラインからマストス
テップフィッティングまでの寸法となります。新しいマストにはマストメーカーが記
入したシアーラインの印があります。この印からマストの下端(つまりマストステップ・フィッティング)
までの寸法が335mmであれば、このマストはこのフネに対してルール上正しく作られていることが
わかります。ドキドキしながら計ると、ぴったり同じ。あ〜安心した!
念のため、シアーラインの印からブラックバンドまでの寸法をチェックして終了。
めでたし、めでたし。
二人の親方の「シアーラインの研究」は、こうして無事に終わりました。
この時の研究はあくまでも一つの例ですが、シアーラインとは何か、どうしたら高さが測れるのかを
知る必要ができた時には、参考にしてください。寒いばかりで風のない日の、有意義な過ごし方に
なるかもしれませんね。
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