Vol 1 

 20年も前に出会った古歌に

 「いけ花の 浮世の水に つながれて 花は咲けども 実らざりけり」

という歌がある。

 人生を、いけ花になぞらえて読まれた歌で、水盤の中に生けられ
どんなに綺麗に花を咲かせても、しょせんは実を結ぶことはない
花であるという意味であろう。

 一度しかない人生を、世間のことや、目先のことにとらわれ
ふりまわされて大切なことを見失ってただ生きたとするならば、
空しい人生、悔いの残る人生で終わってしまう。

 「人の世の 世間の風に 流されて おおがすれども 
むなしかりけり」です。

 かけがえのない私の人生、いかに生かされ、いかに死すべきか
人生最大の問題だ。
聖徳太子は「世間墟仮不実 唯仏是真」と知らせてくださり
「親鸞聖人は煩悩具足の凡夫、火宅無常の世界は、よろずのこと
皆もてそらごとたわごとまことあることなし」と教えてくれます。

 世間のことだけに終始することなく、まちがいのない確かな人生、
この世に生かされて良かった、悔いはない、と言い切れる生き方、
完全燃焼できる人生を送りたい。