落花の雪に踏み迷ふ

古典太平記『俊基朝臣再関東下向事』

落花の雪に踏み迷う,交野の春の桜狩,紅葉の錦を着て帰る,
嵐の山の秋の暮れ,一夜を明かすほどだにも,
旅寝となればものうきに,恩恵の契り浅からぬ,
わがふるさとの妻子をば,行方もしらず思いおき,
年久しく住みなれし,九重の帝都をば,今を限りとかえりみて,
思わぬ旅に出でたまう,心の中ぞ哀れなる。

・・・・・・

元弘の乱で鎌倉に送られた日野右少弁俊基。
2度目の鎌倉送り,こんどこそ,二度と帰れぬ死出の旅路の覚悟の様子を表しています。
元弘元年(1331年)7月11日に捕縛され,同月26日に鎌倉に着き,諏訪左衛門の屋敷の座敷牢に10ヶ月幽閉された後,葛原が岡にて処刑。

都から鎌倉までの道行きの俊基の心情・・都に残した妻の小右京    
いろんな思いが錯綜したのでしょうね,自分がすごした都での生活・・風景・・周りの人々・・・。
そして,鎌倉での10ヶ月に及ぶ牢獄生活・・・
公卿でありながら投獄・幽閉された自分の身の上を10ヶ月の間どう考えたのでしょうか??・・・
最期は処刑と言う形での終止符・・・。
公卿らしからぬ,日野俊基の生き方・・・
でも,倒幕という自分が選んだ道をひた走りに走った思いは,
また次へと受け継がれていくのですね。

時代が大きく変わる時,新しい感覚を持った人物が傑出しますよね。
この方もその一人なんでしょうね。

「秋をまたで 葛原岡に 消ゆる身の 露の恨みや 世に残るらん」

大河ドラマではこの方の役・・榎木孝明さんが好演されていましたよね〜〜〜。
淀川での舟上での出会いと別れは印象的!!
足利尊氏に布石をおくいい役でした・・・・。

因みに,上の絵は間違っています。
落花の雪ですから,桜のイメージで描かないといけないんです。
しかも,公家さんではないし・・・
はっきり言うと河村恵利さんの直義のイメージ??だね。。。こりゃ・・・
また,描き直すといいつつ描き直していません。いつもこれだね・・・。

参考文献「太平記物語」徳永真一郎氏(成美堂出版)
      「私本太平記」吉川英治氏

                         2004.12.15.