耳鳴りが聞こえる

こうやって原稿を書いている今、耳鳴りが聞こえている。大体疲れると耳鳴りがするのだ。今聞こえている耳鳴りは秋の夜長の虫の声といった感じの、シーとかチーというものだ。 　私の耳鳴りには大別して３種類ある。 　一つ目は前述した秋の夜長の様なもので、これはずーと続く。 　二つ目はキーンとかワーンとかいう割と一過性のもの。 　三つ目はビシ・バシというかなり大きな音のものである。 　耳鳴りというのは不思議なもので、一体どこで鳴っているのか皆目見当が付かない。少なくても現実の外部の音ではない事は確かである。だから人に説明のしようがないし、自分以外気が付かない、そして自分だけで苦しんでいる。 　これがどこが痛いとか、ここが痛いとかというのであれば、表情や態度に出るから分かりやすいのだが、耳鳴りは人に理解してもらうのは大変だ。気にしなければ良いじゃないかと言われるかもしれないが、得体の知れない音と一緒に過ごすのは、なんか大きな病気の前触れのような気がして、やっぱり気になり苦痛なのである。 　さて、耳鳴りで思い出した。左耳が突発性難聴になって全く聞こえなくなった当初、実は耳鳴りは全くしなかったのである。右耳は聞こえるにせよ、本当に静かな世界だったのである。それがしばらく経って左耳がほんの少し聞こえ始めた頃から耳鳴りが始まったのである。かといって左側から聞こえてくるわけではない。全体的に頭の中で聞こえるようになったのである。２０年近くたった今でも、そういう状況は変わらない。

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