序文が後とは


 古事記の研究をしている人の著書によると、現在残っている古事記の序文は、後から付け加えられたか、本来の序文を書き替えたものらしい。少なくとも本文とは別物のようである。これが古事記偽書説の元になっている面もあるようだが、それはともかく、序文というから最初に目に触れるものではあるけれど、必ずしも最初に書かれるものではないという事には納得がいく。自分の経験上、序文は後から書いた方が、まとまりよく書けるものだから。
 
 なぜなら最初に序文を書いてしまうと、本文がそれに制約されて融通が取れなくなってしまうので、構想がかなり固まって、本文がある程度出来てからでないと、序文は書かない方が良いのである。とはいえインターネットのホームページは連載物みたいだから、なかなかそうはいかず、決意表明的な序文になってしまうのは避けられないけれど。

 単行本としてまとめて出版する時は、最後に序文を書きたいものだ。

 なお蛇足ながら、古事記と並んで話題になる日本書紀は、本当は日本書の紀部分というべきものらしい。中国の歴史書に倣って紀、表、志、列伝をまとめて書きたかったのだけれど、紀だけが完成して残っているのだそうな。



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