庭の除染


 除染の最終段階、庭の除染が行われた。もう原発事故から3年半になろうとしていた時期である。庭の除染には大体3日間かかった。一番の難問は庭に穴を掘ることである。我が家では1メートル×2メートル、深さ1,3メートルほどの穴を掘ったのだが、それでも足りず、若干広げた。庭に穴を掘るだけでも1日がかりなのだ。それは狭い庭には大型の重機が入れないから、いわゆるミニショベルカーを使わなければならないからである。 それでも我が家には何とかミニショベルーカーを入れることができたのは幸いであった。通路が1メートルもないのであるが、何とか入れた。この時ショベルカーと言うのは、キャタピラーの間隔を狭めることができるというのを初めて知った。すべての機種がそうかは知らないけれど。ショベルの部分と、前についているブルドーザーの土かきのようなものを下に押し付けて、車体自体を持ち上げてキャターピラーの間隔を変えるのである。
 家によっては生垣やフェンスを取り除いて入れるところもあり、さらにはクレーンで吊り下げて入れたりして大変だったようだ。それでもダメとなると隣家から穴を掘るという離れ業も見受けられた。この場合ある程度大きなショベルカーでないと無理であるが。

 汚染土の除去は表面から2〜3センチばかり削るのであるが、これにもミニショベルが活躍する。広いところはミニショベルを使い、狭いところは人力でやる。作業する人も慣れているせいか意外と時間がかからない。ここでは運搬用の一輪車が活躍する。汚染土は一か所に集められてショベルカーで穴に埋めるのであるが、そのまま埋めるのではなく、袋に入れて埋める。袋の周りは防水シートで覆う。袋の大きさが大体1メートル立方だから、2個分の分量である。それに若干量が多かったので、小さな袋数個分も追加した。なぜ汚染土の量が多かったというと、プランターの土も大量にあったからである。

 そのあと庭の表面の放射線量検査をして問題なければ、庭全体に新しい土を2〜3センチ覆土をして、汚染土を埋めたところは30センチ土をかぶせて機械で踏み固めて終了となるのだか、我が家の場合は雨樋が壊れているところの下の所はやはり放射線量が高く、表面を削ったのにかかわらず1.2μシーベルトもあったのでそこは周りの樹木も含めてごっそり土を除去して放射線量を下げたのである。

 被せる土は何種類か選べるのであるが、気分一新という事で粗目ではあるが明るい色に物を選んだ。あともと砂利を敷いていたところは同様の砂利を選んだ。これで庭の除染は終わったのであるが、後ほど市の方で放射線量を測定した結果では、除染前の測定値の半分以下の0.17μシーベルトぐらいだと報告があったので一安心である。

 さて事情があって庭に穴を掘れない家は大変である。汚染土を野積みするわけにもいかないから何とかしなければならない。そうなると最終手段として、駐車場を掘って埋めることになる。敷石を敷いて作った駐車場では敷石をはがしてその下を掘っているのを何軒かで見た。敷石は元に戻せるけれど、いや新しい敷石にするだろうけれど、、コンクリートでがっしり固めた家はどうするのか。これもやれないことはないけれど、大変だな。隣の市では、庭にコンクリート容器で覆われた汚染土が置かれているのを見たことがある。なんてったって自宅保管が原則と言うのだから面倒なことになっている、だれも望んでいないのに。保管料を支払ってほしい気分だ。



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