屋根の除染


 3年3か月経って、ようやく我が家の除染が始まった。とりあえず屋根の除染を先行させて、その後ひと月ぐらいたってから庭の除染を行う。屋根の除染は基本的に高所作業車を使う。高所作業車が入れないところは足場を組んで人手で行う。足場は一軒当たり半日もあれば組める。解体にかかる時間も同じぐらいだ。足場を組んだ後まず放射線量を測定する。除染の効果を確かめるためである。隣同士の家で連日足場の組み立てや解体を行うので日中はかなりうるさい。夜は作業をしないのでうるさくはないが。洗浄方法は高圧水の吹付で行う。と言っても普通の高圧洗浄では屋根を痛めてしまうのでかなり圧力を抑えているようだ。確かに圧力が高い方が除染効果は高そうではあるが、屋根を痛めては雨漏りの原因になるので、仕方がないところである。
 除染のやり方を見ていると、あることに気が付いた。屋根の高いところは除染せず、低いところ、軒先の部分、そして雨樋を集中的にやっている。実は屋根の高いところより低いところの方が汚染度が高いらしい。確かに下の方が上からの汚染水も加わるからそうなのかもしれない。それに屋根の高いところを除染しようとなると屋根の上に登らなくてはならず、屋根を痛める危険性があるためのようなのである。だから基本的には屋根の上には上らないのである。全くと言うわけではないが。

 で具体的にどのくらい放射線量が下がったというと、手持ちの線量計が精度が悪いのではっきりとしたことは言えないが、室内で一割程度は下がっているらしい。やっぱり屋根の除染だけではその程度なのだろう。根本的には屋根を全部取り換えるのが良いのだが(そうすれば屋根からの放射線は無視できる、おそらく室内の放射線量は半分ぐらいにはなるんじゃないかな)、しかしコストの問題、人手の問題、期間の問題どれをとっても難しい。それに何と言っても除去した後の屋根材等の処分場がない。放射性物質だけでなくアスベストの問題もある。仕方がないので、庭の除染に期待することにしよう。

 夏の暑いさなか、作業をしている人は本当にご苦労である。長袖、長ズボン、ヘルメット、マスク手袋と。



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