脱原発の切り札、それは節電


 2年以上経っても、毎日毎日原発のことが頭から離れない日々が続いている。それはそうだろう、原発事故の処理はまだ始まったばかりなのだから。廃炉までは何十年もかかる。せめて核燃料だけは安全に取り出さない限り、とても安心できないのだ。何らかの拍子に事故がぶり返すことも無いとは言えないだろう。だから危険な事故要素を抱えている原発は、全国共々即廃止してもらいたいのだ。しかしそうすれば電気が不足するからなどと、何かと理由をつけて原発を動かしたいという、危険極まりない動きがあるのはとても納得できるものではない。本音は電力不足ではなく、関係者の利益・うまみがなくなるからというのは、見え見えだけれど。

 確かに原発を稼働しなければ電力需給は窮屈になることは分かる。だから原発に代わる新しいエネルギーは必要である。しかしすぐ短期間というわけにはいかないだろう。それではどうしたらよいのか、やはり節電を推進するしかない。じゃあ自分はどう取り組むんだということになる。こまめに電気を切ることはできるが、そんなに大きな効果は見込めない。太陽光発電装置を取り付けるだけのお金もないし、そもそも屋根の形から我が家は太陽光発電装置は乗っからないのだ。

 色々考えているうちに、17年間使っていた冷蔵庫の調子が悪くなったので、最新型に取り換えれば節電になるのではということで、まだ使えなくはないものを思い切って買い換えた。そしたらなんと、6月分の電気の使用量が前年比4割も減ったのである。冷蔵庫は昼夜問わず、季節も問わず連続運転である。安定して電気を食い、電力消費の基礎部分となっていたことに初めて気が付いた。何と古い冷蔵庫を取り換えるだけで、劇的な節電。これはいい話だ。

 だから全家庭で古い冷蔵庫を買い換えれば、全国の家庭の消費電力は大きく減らすことができるはずである。もう強制的に政府が、15年以上経った冷蔵庫を無料で最新型に取り換えるぐらいの思い切ったことをやったらどうだ。または買い換える際、使用年数に応じて補助金に傾斜をつけて古いものほど補助金をアップするとかしたらどうか。老朽化による火災の心配もなくなるし。同様に古いエアコンもそっくり取り替える。エアコンも冷蔵庫と同じような原理で動いているんじゃなかったっけ。ならば15年前に比べて相当節電がすすんでいるはずだ。これだけで原発なしで十分電力に余裕ができるのではないか。そうすれば効率の悪い古い火力発電所も使わずに済み、燃料費も抑えられるというものだ。一時的にせよ景気浮揚策にもなる。極端に考えてみるが、全国の全家庭の冷蔵庫とエアコンを使用年数にかかわらず直ちに最新型の省エネ型に取り換えたら夏場のピーク時の電力使用量はいかほど減るか。家庭分で3割ぐらいは減らせるんじゃないのかなあ。冷蔵庫の発熱が減れば、エアコンの負荷も減るし。

 もちろん家庭だけで電気を使用しているのではない。オフィスや商業施設、公共施設、工場、交通、倉庫などあらゆるところで電気を使用している。それらもひっくるめて節電をしなければいけない。投資減税の話もあるが、思い切って節電・省エネに限って先行したらどうか。

 なお冷蔵庫というものは不思議なもので、容量が大きい方が電気を食わない場合が多い(少なくても単位容量当たりの消費電力は、同じメーカーの同じシリーズで比べると必ず大きな冷蔵庫の方が少ない)。カタログ上もそうなっているし、店員に聞いてもそうなのである。だから今回私は一回り大きな冷蔵庫を購入した。でもって中はガラガラである。



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