ガソリン、灯油が無い


 3月12日の朝、周りの様子を見にバイクで出かけた。交通量が少なく鉄道も走っていないので、街中はとても静かであった。大きな被害は見あたらなかったけれど、陸橋が通行禁止になっていた。いつも利用しているホームセンターは営業していなかった(ミネラルウオーターが欲しかったのである)。
 で、車が行列しているところに出くわした。何かと思うとガソリンスタンドのところである。もしかしてガソリンが不足しているのかと思い、べつの給油所のところも見に行ったが、こちらの方がもっと長蛇の列。これはいかん、ガソリンが入荷していないのではないか。たしかニュースでは給油量が10リットルまでと制限されていたようだったけれど、それならガソリン不足にはならないじゃないかと、勝手に思い込んでいた。あわてて最初ののガソリンスタンドの列に並んだ。40分ぐらい並んだだろうか、ようやく私の番になったところでもうガソリンはありませんと言われた。バイクだから2リットルだけでいいからと、何とか給油してもらった。私の後の人は泣く泣く引き返して行った。
 ガソリン不足と言うより、ガソリンスタンドがまともに営業できない状態は一ヶ月、いやそれ以上続いた。バスに乗ってながめていると、決まってガソリンスタンドの前は長蛇の列である。営業していないのに、ずっと並んでいる。次にタンクローリーが来るまで待っているらしい。当然軽油も不足しているので、道路の交通量はとても少ない。あまりにも寂しくて、不安を覚えるくらいだった。

 ガソリンも軽油も不足しているとなると、当然灯油も不足していることになる。いつも巡回して配達している業者が全く来ない。まだ3月である。灯油がないことには暖房に事欠く。電力不足だから電気で暖房というわけにもいかない。計画停電対象地域ではなかったけれど、さすがに気が引ける。残っている灯油で節約しならが何とかしのいだ。ようやく灯油の巡回配達が来たのは何週間後だったろうか。喜びも束の間、値段を聞いてびっくりした。何と18リットル当たり300円も値上がりしている。原油価格が急騰しているとは聞いていない。製油所が悪いのか、卸売りが悪いのか、小売が悪いのか知らないが、物不足につけ込んでとしゃくにさわったから、とうとう灯油は買わずじまいだった。

 国の原油備蓄はかなりあるとは知っていたが、ガソリンや軽油、灯油の備蓄がほとんどなかったとは初めて知った。すぐに必要なものが備蓄されていないとは危機意識が薄すぎると思う。


戻る