家に帰った


 我が家に着いてまず外見のチェックを行った。屋根壁とも被害は無く、家も傾いていない。そして水漏れとガス漏れのチェック。これも異常なし。これで一安心した。周囲の家も特に異常は無い。ただ若干舗装道路にひび割れがある箇所が目に付く。我が家は山を削って造成した住宅団地内にあり、建築時期も周囲の家も含めて建築基準法の改正後なので、これらが幸いしたようだ。

 家の中は、意外と何ともなかった。一階ではスプレー缶や食器洗いの洗剤の瓶など据わりが悪い物が倒れていたが、それ以外はほとんど何ともなかった。テレビもそのまま、棚からは何も落ちてはいない。食器棚も倒れず、皿一枚割れていなかった。食器棚の上においてあったお盆でさえ、ちゃんとのっかっている。二階は少し揺れが強かったようで、多少の散乱物はあったが、それどもブラウン管のテレビが何事もなかったようにそのままの状態を保っていた。
 病院での揺れを考えると、奇跡に近い。さすが磐城岩代の国か。地震では高校生の時十勝沖地震で怖い目にあっていたので、家を建てる時は地震に強いことを考慮して、土地と住宅メーカーを選定したのが良かったようだ。停電はあったようだが、回復していた。水道も出ている。ああ何とか我が家で暮らせるけれど、余震が怖い。余震にはとても神経質になっていた。

 テレビをつけてみると、津波の映像が出ていた。場所は仙台平野、荒浜だ。荒浜は何度か行ったことがある、まさかと目を疑った。そして三陸海岸では連絡がつかず被害不明とのこと。これは大変なことになったなと思った。岩手県から茨城県にかけての沖で、いっぺんにプレート境界がずれた模様。日本史上最大級の地震。この先大丈夫かなと不安がよぎった。
 そして次の報道では福島の原発が津波に襲われ、冷却不能とのこと。詳しいことはわからないが、これは困ったことになったと思った。原発は安全な場所にあるはずで、どうしてそうなったんだと思った。でも普段から、2重3重の安全策がとられていると聞いていたので、当日はそれほど深刻には考えてはいなかったのである。


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