自虐的なノーベル賞


 昔々、このあたりに一人の小説家が住んでいたそうな。その人はノーベル文学賞が欲しくて、毎日毎日一生懸命本を書いていたんだと。若い時から年をとるまで、それはそれは一生懸命だったんだけど、結局はノーベル賞はもらえなかったそうな。そしてとうとうよぼよぼになって、小説家を引退することになったんだ。それでもノーベル賞のことは諦めきれなかったそうな。それで最後に自分のために賞状を書いたんだと。それが今でも我が家に伝わっているから、見ておくれ。

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  症状  ○×△夫 殿

  あなたは若い時から年をとるまで一生懸命本を書いて、人々を楽しませてくれました。
  もう十分世の中のために尽くしたのであります。
  そこで引退するにあたり、次の通り認定します。

   あなたは「脳減る症」に該当します。

  これからは健康に気をつけて、悠々余生を楽しんでください。
  きっと後世の人は、あなたのことを忘れないでしょう。

  2003.12.31

  脳減る症認定医院会 会長 □山凸一  認定印

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なんとはまあ、自虐的な賞状なこと。それ以来この村では、ヘルメットをかぶらないでバイクを運転する若者が増えたんだと。



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