季節風


 ビュォゥーン、これが風の音だ。我が家は冬の季節風がまともに吹きつける場所にある。とにかく風の強いところに住んでいるのだ。しかも何の前触れもなく、いきなり吹きつけてくる。地元ではこれを磐梯おろしと呼んでいる。確かに北西の方角を見ると、磐梯山がちょこんと頭を出している。そう、民謡で有名な会津磐梯山だ。
 残念ながら家を建てる時には、この季節風は予想していなかった。高台で山を削って作った造成地だから、水害の心配もないし、地震にも強いだろうと、天災に関しては安心していた。しかし不覚にも、風についてはぜんぜん考慮に入れていなかったのである。
 周りの農家を見ると、みんな立派な防風林を持っている。北側西側に、杉やヒノキなどの針葉樹を植えてある。高さも10メートルはあろうかと、ともかく立派な防風林なのだ。

 参ったなあ。狭い住宅地じゃ防風林は無理だし、こりゃ、あきらめるしかない。ちゃちな生垣では、全く無力なのである。生垣自体が風で斜めに傾いて成長している。ひどい時には、家が揺れるほどだ。止めているバイクがすっ転んだこともある。これで家の寿命が短くなるのは嫌だな。
 
 風が強い日は決まってゴミが飛んでくる。ビニール袋や買い物袋に入った家庭ゴミが多い。いったいどこから飛んでくるのやら全く見当もつかないが、そんなの外に出さないでおくれと心の中で思いながらも、寒い中しぶしぶ片付けている。

 冬の風のエネルギーは強い。同じ風速でも夏の風よりは強い。なぜなら冬は気温が低いから、空気がより重たいからである。毎年まともに食らっている我が家はどうなることやら。

 住宅街でもそうなのだから、風の強い日はちょっと外に出るとたまったものではない。田んぼの真中の道は、地吹雪の名所である。前が見えない上に、横から強烈な風が吹いてくるので、バイクでは危なくってしょうがない。一度立ち往生しかかったことがある。前にも後ろにも進めないんだから、風が収まるのを待つしかない。車でも大変だろうな、きっと。

 住宅地を探す時は、天気が悪い時に確かめろとよく言われる。それに加えて、風の強い日にも確かめろとアドバイスしておく。
 


戻る