へそ曲がり


 私の顔は顔面神経麻痺のせいで曲がっている(ように見える)。しかしそれに劣らずへそも曲がっているようだ。こちらは顔と違って小さいころからそうだった。

 まずは進路である。小学生のころは社会が一番得意だった。中学一年の時は理数をがんばるようにと言われた。それが理科系を選んでしまったのである。大学は工学部だ。しかも物理系の学科だ。理由は、1学年の時物理の単位を落としたので、物理をちゃんと勉強しようと思ったからである。物理は暗記することが少ないという理由もあったが。
 しかしやはり物理は良くわからないまま卒業した。ひどい選択をしたものだ。そこそこ真面目だったが、あまり出来の良くない学生だったことは確かだ。

 そして今の人生にたどり着いた。なんといろいろ文章を書いてホームページに載せているではないか。物理系としては異色だ。科学論文でも書いているなら別だが、内容が違うでしょと言いたくなる。しかもへたくそを承知で書いているのだからどういうことだ。やはりへそ曲がりだ。

 大体私には文才がない。頭の中が脈絡ないから、思考があっちこっち飛ぶ。一貫してきちんとした文章が書けないのである。しかも思っていることが素直に文章にならないのである。これは言語脳が弱いことの証明である。私は左利きである。そしておそらく右脳タイプである。言語脳は左脳にあるから、言語脳が弱いと十分推測できる。

 もともと国語は好きではなかった。他の教科に比べて変な違和感があった。文章の読解力が劣っていた。今でも自分の書いた文章さえ、すらすらと頭に入らないのである。字もへたくそだった。左利きなのに、無理やり右手で字を書かされたからかもしれない。
 
 そんな私がホームページに文章を載せているのは、2つの理由がある。1つは自分のため、2つは他人のためである。自分のためとは簡単に言えばリハビリである。なまった頭を少しでも回復したいのである。それで苦手な文章を書くことにしたのである。リハビリなら最初は得意のをやって、それから苦手なのに移った方が良いと思うのだが、はじめから苦手を選ぶのだから、やはりへそ曲がりなのであろう。あわよくば後で本にでもまとめようと思っている。これはもうへそ曲がりの域を脱して、みのほど知らずと言おうか。
 他人のためとは同病者への励ましである。こんな文章で励ましになるかは疑問かもしれないが、それでも悪いことを考えるのを止めてくれればそれでいい。


戻る