若い時の苦労は

 ちょっと常識には外れているかもしれないが、敢えて言おう。

 若い時にはひどい苦労をしない方が良い、と言うのが私の持論である。なぜなら私自身若い時から病気で苦しみ、今もそれを引きずっているからである。昔からの格言で、「若い時の苦労は買ってでもしろ」というのがある。私はこれに真っ向から反対する。そして「若い時の苦労はし過ぎるな」と言いたいのである。

 苦労を知っている人は、人に苦労しろなんて、そんな無責任なことは言えない。苦労すればするほど報われる、そんなことはないのである。苦労すればするほど、苦しむのである。無理やり苦労を押し付けても、良い結果は生まれない。

 苦労というのは目標ではない。また努力と苦労は別物である。努力の最中に苦労を経験することはあるけれど、努力の目標は苦労ではない。

 そう言うと、若者を甘やかすなと言われるかもしれない。しかし私は甘やかすつもりはない。現状を打破するために、大いに努力をして欲しいと思っている。今の若者には元気がないし、覇気も感じられない。これでは日本の将来が心配である。もっと力強く生きて欲しい。

 日本の社会は、若者にくだらない苦労をさせている。その例が受験勉強だ。ほとんど、社会に出てから役に立たないことで、無駄な時間を費やしている。だから創造力が育たないし、社会性も育たないのである。もっと自分の頭で考え、社会と共に育つことを教えなければいけない。
 スポーツも同様である。型にはめて、個性を殺している。ひどい場合は、選手生命を奪ってしまう。

 人間楽しくやれば、苦労など感じないものである。楽しくやって力をつけた方が良いではないか。若い人は、伸び伸びと自分の可能性を追求して、楽しい努力をして欲しい。が、決して、楽な方に流れれば良いと言っているのではない。若い時の怠惰は、後々悪い結果を引き起こす。そのことだけは忘れないように願いたい。
 


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