大愚は大賢に通ず
 ひょっとして私はまれにみる愚か者か、あるいは普通の物差しでは 測る事ができない大人物のどっちかではないのか。最近そんな気がし ています。こざかしく立ちまわる事が苦手なものですからかなり愚直 に生きていますが、ただの愚直ではなくかなり的外れの愚直ではない かと思っています。その一例がこのホームページです。左耳が悪いの にマルチ音源などと、自分ですら良く分からない事をやっているので すから。  確かに理屈の上では納得できます。しかし実感としては分からない、 片耳だけで立体的な音なんて分かるはずも無いのです。想像力だけで やっています。音の聞える方角さえ分からないのですから。それでも こうしてホームページに載せています。その前は実際音を出して人に 聞かせていました。こりゃ相当の愚か者じゃないのか。でもそんな事 ずっと以前から分かっているのにずーっとやっている。それじゃあ私 は、かなりの愚か者プラス偏執者じゃないのか。  自分でもなぜだと思う事は度々あります。しかしその都度答えは、 「これしかない」です。私はよっぽど融通のきかない人間なんでしょ うか。でもいくら融通のきかない人間だとしても、自分で分からない 事を押し通すなんて尋常ではありません。だけど深く考えてみると、 自分では分からないからホームページに載せているんじゃないかと思 うのです。自分じゃ分からないけど他人なら分かる。音楽やオーディオ に興味がある人間なら分かってくれる。実際試作して音を出してみる 人もいるかもしれない。それで私は充分満足です。私の夢を継いでく れる人がどこかにいる。そうです。夢なのです。私は永遠の夢を追い かけているのです。私にとって立体的な音楽は絶対叶う事のない夢な のです。だから一生夢を見続けるためにマルチ音源にこだわっている のです。    確かに変だ。叶わない事が分かっているのになぜ追いかける。  それはね、現実が厳しすぎて夢がなくなると生きていられないから なのです。ここまで来ると大愚を押し通すしかありません。大愚は大 賢に通ず。これが私を支えている言葉なのです。大愚のままで一生終 わるかもしれないけれど、それでもいいと思っています。