<音痴お救い箱> 私の音痴は先天的なもの。だからいくら練習しても直らない。でも歌いた いんだなあ、人前でも。だから音痴でもまともに聞けるようになる機械はな いものかしら。 「先生、音痴ってなんですか」 「音痴と言うのは音程が変にずれるってことさ。しかも自分じゃ修正できな い」 「自分で直せないから音痴なんですか?」 「そう、自分で直せたら音痴じゃないだろう。わざとやっているわけじゃな いんだから」 「ということは私の音痴は直らないということですか」 「おそらく難しいんじゃないかな、小さい時からそうなんだから」 「ううー、悲しいなあ。なんとかならないんですかあ」 「こればっかりはなんともならないね」 「ああ、諦めるしかないのか」 「ままま、そうがっかりしなさんな。良い方法があるんだ」 「本当ですか。そりゃうれしいな」 「まず前提を考えよう」 「前提って?」 「前提は音痴は自分で直せないってことだ」 「ええ、それで苦労しているんですけど」 「だから機械に直してもらう」 「機械が?」 「そう機械さ。ヴォイスチェンジャーと言うのがあるだろ。あれを使うんだ よ」 「ヴォイスチェンジャー?、ああスイッチ押すと音程が変わるやつですね」 「そう、じぶんの声をヴォイスチェンジャーに通してさ、音がずれたらスイ ッチを押して音程を上下させるというのはどう」 「いやいやとてもとても、そんなの歌いながらできませんよ。録音したのを 何回もやって修正するなら別だけど。それだって大変ですよ」 「だから、自動でやるんだよ。音がずれた分を検知してヴォイスチェンジャ ーにフィードバックするんだよ」 「どうやって音がずれたのを検知するんですか」 「それは基準の音つまりメロディーを流して、君の声との周波数の差を測る んだ。そして差があればヴォイスチェンジャーに信号を送って音程を変え るのさ。差がマイナスの場合、プラスの場合、また差の程度によって信号 を変えたらどうかね」 「うーん、うまくいくのかな」 「今の技術ではそんなに難しくないと思うけどね」 「そうですか。うまくいくと良いけど」 「ただ問題もあるんだ」 「なんです」 「リズムがずれた場合困るんだ」 「どう困るんです」 「それはね、極端な話1小節遅れて歌った場合を想像してごらんよ」 「うーんと、1小節遅れるってことは歌詞がそのままで、メロディーが次の 小節のものになるってことかな」 「そう、おかしいと思わないかい」 「あっそうか。曲と歌詞がバラバラだ」 「そうなんだよ。リズムがずれると変になっちゃうんだよ」 「ということはリズム音痴の人はさんざんな目に遭うということですか」 「そう、音程だけがずれる人には良いんだけど」 ということで、これは人前で歌うより歌の練習用に使うのがいいかも知れ ませんね。リズムがずれると変になる。だから変にならないように練習すれ ば、きっちりとリズムも合うというわけ。あとはえーと、バックコーラスな らOKです。歌詞がないものならバッチリですから。音程無しでアーとかウ ーとか言うだけでいいのです。 ところで音痴の人って、音程がずれているのが分かっていても直せないの か、自分の音程がずれている事そのものが良く分からないのか、どっちなん でしょうか。 注)音程の補正機能を持った業務用カラオケはあります。原理は分かりませ んがどの程度のものなのか一度聞いてみたいものです(6/29加筆)。