<電子パイプオルガン>
 パイプオルガンは、パイプが一本一本別々の音を出す巨大なマルチ音源演 奏装置です。だからパイプの代わりに別々の音を出すスピーカーにして、電 気信号でコントロールしても似たような事になります。そうです、鍵盤を押 さえるとその鍵盤に対応したスピーカーから音が出て離すと音が消える様に します。以外に簡単でしょう。名付けて電子パイプオルガン。さてこんなの は有難いのかしら。 「電子パイプオルガンだって」 「はい、パイプの代わりにスピーカーにします。特定の音を出す音声合成装 置をくっつけて」 「音色はどうするの」 「音色はあらかじめROMに入れておきます。本物のパイプオルガンの音色 をサンプリングして」 「一個ずつ音程が違うんだぞ」 「まあ、それは大した手間じゃありません」 「そうか、しかしすごい数のスピーカーがいるなあ」 「まあ、あまり凝ってもしょうが無いんで100個ぐらいでどうかなと思い ますが」 「買う人がいるのかね」 「本物のパイプオルガンに比べたらはるかに安いですよ。数100万円って とこでしょう。それに電子製品ですからね、つくる方は簡単です。工業製 品ですから」 「電気食うんだろうな」 「全部いっぺんに音が鳴るわけじゃないから、数100ワットもあれば大丈 夫でしょう」 「だいたいどんなとこで使うんだよ」 「教会や、結婚式場、小さな音楽ホールなんかどうかしら」 「ふだんオルガンを使っているところかい」 「ええ、オルガンの代わりに電子パイプオルガンはいかがというわけです」 「演奏が難しいけりゃ駄目だろうな」 「演奏は普通のキーボード弾ける人なら誰でもできるように、普通のキーボ ードで」 「あんまりたいしたことはできないかもね」 「でも、それだけ特殊でないというわけです」 「じゃあ特殊でないついでにもう少し手軽にしたら。3メートルぐらいに納 まるようにさ」 「持ち運びできるようにして、パイプみたいなスピーカーは折りたたみ式に するのがいいのかな」 「それならちょっと大きめの部屋なら使えるよ」 「値段も100万円以下にできたらなあ」 「スピーカーの数を半分にしたらできるかもね」  そうです。パイプオルガンは、やっぱり和音の一個一個の音が独立してい るのがいいんです。だからこれしかないでしょう。ステレオでやるもんじゃ ないと思いますよ。