カラオケ夢工房 第10話  <セーラームーンR>


「このカラオケは、わたしのバックバンドなの」

  B子はいつも自慢していた。今日もC子をつかまえて話をするのであった。

「どうこれ、私のバックバンドよ」
「またまた、プロでもないのにバックバンドなんて。10年早いんじゃないの」
「なに言ってるのよ。そもそもカラオケだって、初めはプロの間のものだった
 のよ。それが一般化したんじゃないの」
「歌がうまい人が言うなら分かるけどね」
「まったくあなたはケチばっかりつけるんだから。バックバンドと言ったって、
 この装置のことでしょ」
「機械がバックバンドだなんて言うからよ」
「ともかく音を聞いてみれば分かるわ」

  喧嘩しながらも、二人は仲がいい。

「へへえー、これがねえ。確かにバックバンド風だわ・・・」
「どう、分かったでしょう」
「はいはい、参りました。でもよくこういうの手に入れたわね」
「A男さんからもらったのよ」
「こんなすごいものを?彼、相当あなたに気があるんじゃない」
「さあどうだか。Kさんが2台作って、そのうち1台を誰かに試してもらって
 くれって言われたから持ってきた、って言ってたわ」
「じゃあ、結局Kさんからもらったんじゃないの」
「まあそういうことね。だから大事に使っているの」
「あの人も、直接渡せばいいものを。ははー、それともA男がKさんに頼んで
 作ってもらったのかな」
「そういう勘ぐりはやめましょう。それよりこのバックバンドに名前をつけた
 いのよ」
「スピーカーが1、2、3、4、5個。これクインテットよね」
「そうよ。だからクインテットにふさわしい名前つけたいの」
「カルテットなら付けやすいんだけど。玉川カルテットとかあるじゃない」
「私のバックバンドよ。もっと女の子に似合うの考えてよ」
「女の子と言ったって、そろそろおばさんじゃあないの」
「なに言ってるのよ。あんたと同じ年でしょう」
「おおーこわ。じゃあうんと女の子ぽい名前にしようーと。リカちゃんバンド
 なんてどうかしら」
「いいけど、ちょっと子供っぽすぎるわよ」
「人にばかり考えさせないで、自分でも考えなさいよ」
「そうね、夢のあるのがいいわ。星の王子さまとか、かぐや姫とか、・・・」
「それじゃあ、セーラームーンRというのはどうかしら。ちょうど五人分スピ
 ーカーがあるし」
「いいわね、それ。ついでに人形も付けちゃおっと」
「ほかのキャラクターはどうする」
「カラオケの本体に絵を貼るわ」
「よしこれで決まりね。でもA男やKさんは、セーラームーンRが分かるかし
 ら」
「分からない人には、そうだあの言葉をあげちゃお・・・・・」

    ”女の子の気持ちも知らないなんて、月に代わっておっ仕置よー”  

「おーっほっほっほっほー」
「きゃっはっはっはっはー」


  分からない人は、土曜日の夜7時からTVを見てね。