カラオケ編 第11話  <それが大事>


 ちょっと前に流行った歌にこんなのがあったっけ。

    負けないこと、投げ出さないこと、信じること・・・

 そうだ、それが大事という歌だ。

 最初に新しいことやるって大変なんだよね。

「ハードは大体できたけど、ソフトはどうする」
「自分達でできないから、ほかに頼むしかないだろうな」
「ただ頼むっていっても、仕様はきちんとしておかなくちゃね」
「よし仕様を決めよう。みんなを集めて、会議だ」


「まずは楽器編成からだ」
「カルテットだから、ピアノ、ベース、ドラムスにギターというのはどうかな」
「与作の伴奏なら、尺八がいるぞ」
「また逢う日までなら、トランペットがほしいところだ」
「ピアノはピアノでもロック系なら電子ピアノだ」
「面倒なこと言わずに、NHKののど自慢を参考にしたら」
「やっぱりサックスの音だよ」
「けんけん、がくがく・・・」
「わいわい、がやがや・・・」
「待て待て、コンピュータミュージックなんだぞ。今はいろんな音が出せるん
 だ。曲に合わせて決めてもいいんだ」
「それなら最初はピアノの音が出ていたスピーカーから、次の曲ではラッパの
 音が出てくるって訳かい。そんなバンドがあるかい」
「バンドが交替したと思えばいいじゃないか」
「カラオケ装置に○○バンドって名前つけようと言ったのは誰だい」
「いいじゃないか。○○バンド達とでも名前つけたら」
「自分のバックバンドのように愛着持つ人もいるんだぞ」
「まあまあ、標準編成と特別編成の2つの伴奏入れたら」
「一つの曲に2つの伴奏だって?値段が高くなってしまうじゃないか」
「いろんな音出させるってことは、音源の値段が高くなるんじゃないのか」
「わいわい、がやがや・・・」
「けんけん、がくがく・・・」

「わかったわかった、この話は後にしよう。先にソフトの形態を決めよう」

「本命はフロッピーじゃあないの」
「フロッピーは容量が小さすぎるよ」
「じゃあハードディスクだ」
「酒飲んでハードディスクはこわいよ」
「酒パック、じゃなかった、ROMパックだ」
「いっそCDROMにしたら」
「新しさを売りものに、MDなんてどうだ」
「高いのは駄目だ」
「簡単に新しい曲入れられないと」
「扱いやすいのがいい」
「内蔵型がいい」
「あーたら、こーたら・・・」
「なんたら、かんたら・・・」

「うーん、またまとまらない。しょうがない、ソフトの依頼先を先に決めよう」

「オリオンミュージックはどうだ」
「コンピュータミュージックなら、ハイランド電子系が一番だ」
「ベクトル音楽産業がやりやすいんじゃないか」
「山川楽器が最近積極的だぞ」
「サニーやコロンブスも考えてみよう」
「無名だけど、安くやってくれる会社がいいんじゃないか」
「いや、実績重視だ」
「コスト第一」
「融通きくところ」
「美人多いところ」
「昼飯ご馳走してくれるところ」
「どーでも、こーでも・・・」
「ぶつぶつ、ぼそぼそ・・・」

「もういい。今日の会議は中止だ。いったい何が大事だと思っているんだ」


  何が大事かって。そうです、

  あなたの決断、それが一番大事なんです。