カラオケ編 第12話 <究極のカラオケ> 「お客様、これが今度の新製品でございます」 「おおー、これがうわさのバックコーラス付きカラオケか。どれどれ。前にあ る4つのスピーカーがコーラスという訳か。おや、なんだね上に乗っている 人形は。ドナルドダックかい」 「いいえお客様、ダークダックスをイメージしたものでございます」 「うーん冗談ぽいな、それならもう少し色気のあるものにしろよ。まあいいや、 人形はいくらでも取り替えられるからな」 「まだあるんでございますよ、お客様。これなど面白いかと」 「マネキンかい。これをどうしようというんだね」 「こちらはデュエットに使うんでございますよ。顔は簡単に取り替えられます。 あちらに小泉今日子、中山美穂などいろいろございます」 「それはちょっとやりすぎじゃないかい。おれは、マネキンと一緒に歌うつも りはないぜ。だいたい気持ち悪いよ」 「それは残念ですな。ではバックコーラス付きだけでもいかがなもんで」 「うん、一度音を聞いてからにしよう」 「では始めます」 「おお、音はさすがだな。トップテナーからバスまで、よくハモっているなー。 それにバンドとも良くマッチしているし、なかなかのもんだ」 「完全独立マルチ音源カラオケですからねえ。楽器だけでなく、コーラスのパ ートも一人一人独立していますからねー。最高ですよ、お客さん」 「うーん」 「どうでしょうね、お客さん」 「カラオケボックスならいいけど、家で歌うにはちょっとな。少し大がかりす ぎるんだよなあ」 「家庭用ですか。それでは、もう少しこじんまりしたのがよろしいでしょうな。 これなどいかがなもんで」 「だいぶコンパクトだなあ。スピーカーもずいぶん小さいようだが」 「これは雛人形のように、それぞれのスピーカーを段の上に乗せて音を出すも のなんですよ」 「こんなに小さいスピーカーで、ベースの音が出るのかい」 「ベースだけは、段そのものをスピーカーボックスにしております」 「面白い。いくらだ」 「○○万円でございます」 「もう少し安くないとなあ。安いのはないの」 「では究極のものを。これでございます。どうぞ」 「なんかやけに軽いなあ。あれ、これ中身がない」 「ええ、これが本当の空桶でございます。はい」