カラオケ編  第2話    <作戦>


 ○○音響の社長は、記者達に囲まれていた。

「社長、カラオケアンサンブル、最初はさっぱりだったのに最近売れ行きいい
 ですね。何か秘訣があるのですか」
「きみ、学問に王道なしと言うだろう。商売だって同じことさ」

  と言いながら彼は半年前を思いおこしていた。



「何で売れないんだ。評論家の間でも評判良かったし、値段だって思いきり下
 げたじゃないか」
「そうです。宣伝だって力を入れたのに。おかしいです」
「なにか原因があるはずだ。開発担当に電話を入れろ」

「もしもしわしだが、あのカラオケの新製品さっぱり売れないぞ。どこか具合
 いでも悪いのか」
「実は社長。重大な欠点がわかったのです」
「なんだそれは」
「えー、欠点がないんです」
「さっぱりわからん。何のことだ」
「あのー、欠点がないのが欠点なんです」
「ますますわからん。もっと要領よく言え」
「つまりですね。余りに出来が良すぎて、素人では伴奏に負けてしまうんです。
 それで売れないんです」
「ムムムムムム・・・」
「でも良い方法があります」
「なんだそれは」
「わざと伴奏を間違えさせるんです。それも乱数を使って一曲の間に2〜3回
 ランダムに間違えさせるんです」
「そうか、それでいこう」

作戦は成功した。