カラオケ編 第20話  <二番せんじ>

 
 B社にて。

「二番せんじは駄目だと言ったろう、二番せんじは」 
「すみません社長。なかなかいいアイデアが浮かばなくて」
「この方法はとっくにA社でやってるの。だから、うちが後からやっても駄目
 なんだよ」
「そうでしょうか。A社のものとは若干違いますが」
「どこが違うんだよ。そっくりじゃないか」
「いえ、ここのところが」
「どれ、どれ」
「ここのところです」
「うん、なるほど」


 後日、A社にて。

「おい、B社で新しいカラオケ出したぞ」
「なに、どんなやつだ」
「うちのとそっくりだってよ」
「ええー、真似されたのかな」
「にせものに負けられるかいってんだ」
「おう、もっといいやつ作ってやる」
「その前にB社のものをよく調べてみよう」
「そうだな。敵を知り、己を知れば百戦危うからずと言うからな」

「確かによく似てるなあ」
「でもちょっと違う」
「どこ」
「ここ、ここだよ」
「なるほど、ちょっと違うな。B社にも悪知恵働くのがいるなあ」
「悪知恵とはちょっとかわいそうなんじゃないか。せめてずる賢いとでも」
「同じことじゃないか。それより対抗策を考えよう」
「よし、簡単に真似されないやつだ」


 さらに後日B社にて。

「何、マルチ音源だと」
「そうです。今度のA社の新製品です」
「とうとうやったか」
「知ってたんですか、社長」
「いや、必ずそういう時代がくると思っていた」
「A社に先を越されましたね」
「悔しいけどしょうがない。うちでも出そう」
「えー、二番せんじですよ。社長が嫌いな」
「しょうがない。背に腹はかえられない」
「もう少し様子を見た方がいいのでは」
「うーん」


 またまたA社にて。

「どうだ、今度の新製品。簡単に真似できないだろう」
「いや、様子を見てるんじゃないのか」
「いずれにしても、しばらくは独壇場だ」
「それはそれとして、売行きはどうなんだ」
「まあまあって話だよ」
「それはよかった。苦労した甲斐があったな」
「うん」


 更に更にB社にて。

「社長、今度はC社がマルチ音源カラオケを出しました」
「なに、本当か」
「どうしましょう」
「よし、今度こそわが社でも」
「後追いになりますが」
「かまわん」
「でも、社長がお嫌いな・・・」
「今度はいいんだ。二番せんじは嫌いだが、三番せんじだから」


    A社、B社、C社。さて、この中で○○音響はどれでしょう。