カラオケ編 第21話 <DSPなるもの> 独立マルチ音源はDSPと対極にある考え方です。そこでその違いをはっき りさせましょう。 「DSPというものがあるだろう。あれでも立体的な音楽が楽しめるんだよ」 「うん知ってるよ。でもぼくは独立マルチ音源の方を勧めるね」 「自分が考えたから、そう言うんじゃないのかい。だいたい独立マルチ音源は 楽器の数が限られてしまうじゃないか。その点DSPの方が楽器の数に制限 ないからいいよ」 「音楽ってそうじゃないよ。音が聞こえればいいと言う問題じゃないよ」 「それなら独立マルチ音源の方が音楽的って言うのかい」 「そうだよ、楽器がそこにあるんだから」 「えっ?」 「スピーカーそのものが楽器なの」 「だからどうなのさ」 「楽器と一緒だから音楽的なの」 「スピーカー見なきゃ、関係ないじゃあないか」 「聞き人が動き回っても、自然に聞こえるの。そこに楽器があるんだから」 「部屋の中で座って聞けば、そんなの関係ないよ。わざわざスピーカーの後ろ に回って聞く人がいるかい」 「カラオケじゃあそうはいかないよ。歌う人と聞く人じゃ向きも違うし、場所 だって違うんだから。それに動きながら歌う人だっているさ」 「カラオケ?そこまで考えることないだろ」 「いや、独立マルチ音源はカラオケに最適なんだよ」 「モノラルでもいいのに」 「もう酒飲んで歌うという時代じゃないんだ。もっと音楽的に楽しむカラオケ が必要なんだ。だから伴奏が実在しなくっちゃいけないんだ」 「DSPじゃ実在感がないってわけか」 「そう、音の臨場感は出ても、楽器の実在感はないじゃないか」 「臨場感と実在感は違うってわけか」 「カラオケじゃ目をつぶるわけにはいかないから、楽器の実在感が大切なんだ よ」 「そうか」 「それにバックバンドを従えて歌う気分が出るじゃないか」 「ふーん、カラオケも変わるのか。でもDSPの方がいい場合だってあるだろ」 「まあ車の中なんかじゃ、運転しながらスピーカーを見るわけじゃないからD SPはいいだろうな」 「技術的には、DSPは面白いけどな。それに将来音場芸術に発展できるんじ ゃないのか。音が自分の周りをらせんみたいに絡まっていくとか、自由自在 に羽音をたてて虫が飛んでいくとか」 「それはそれで面白いけど、でも俺は音楽の基本に沿ってやりたいから、独立 マルチ音源だ」 「頑固な人だね」 「いや素直なだけだよ」