カラオケ編 第23話 <伴奏大会>
さあ、いよいよ第1回全国アマチュアカラオケ伴奏大会の始まりです。地方
予選を勝ち抜いた精鋭達、どんな演奏が飛び出しますか。ではトップバッター
どうぞ。
「一番、津軽海峡冬景色伴奏します」
「ずん、ずん、ずん・・・」
「じゃん、じゃん、じゃん・・・」
「るんるる、るるるん・・・」
「さて最初の伴奏が終わりましたが、審査員の中山さん、後評をどうぞ」
「そうですね。すこしあがったのかしら。ちょっと歌手とのタイミングがずれ
たのが惜しいですね。伴奏が歌手に合わせないと。それにプロとは言え、歌
手の歌は録音ですので、歌手が合わすっていうことはありませんからね。あ
とバランスの問題ですが、ちょっとドラムスの音が出すぎでしたね。この曲
はあまりリズムっぽくしない方がいいと思います」
「どうもありがとうございました。それでは、森村さんはいかがでしたか」
「えーと、もうすこしなめらかさが欲しいところでしたね。そう、ストリング
スを少し効かせて、全体を包むようにして。まあ、でもよかったですよ」
「どうもありがとうございまいた。では次の伴奏どうぞ」
「二番、ラブストーリーは突然に」
「らんらららー・・・」
「どんどんどん・・・」
「じゃかすかじゃん・・・」
「中山さんいかがでしたか」
「相当練習したようですね。非常にバランスも良くって、好感が持てました。
ただ惜しむらくは、終わり方があっさりしすぎですね。もう少し余韻を効か
せた終わり方がよいと思います。でもかなりの高レベルですよ」
「なかなか評価が高いようです。では次の伴奏どうぞ。あれ、楽器がありませ
んがどうしたんでしょうか」
「三番、長崎は今日も雨だった。コーラスだけの伴奏で行います」
「わわわわあー・・・」
「るるるるー・・・」
「ぱぱぱぱあああー・・・」
「非常にユニークな伴奏でした。森村さん・中山さん御感想をどうぞ」
「いやー、感心しました。アイデア賞ものですねえー。コーラスだけでこんな
に立派な伴奏ができるなんてねえ。それに選曲が良かったですね。コーラス
伴奏にふさわしい曲でした」
「楽器だけが伴奏じゃあない。そこのところをよく見抜きましたね。ただ一部
楽器の真似をしたのが惜しかったですね。最後まで人間らしくやった方が感
動的だったと思います」
「アイデア賞は別に審査しております。それでは次の方どうぞ」
「四番、影を慕いて。ギター伴奏」
「てん、てん、てん・・・」
「ぽろ、ぽろ、ぽろん・・・」
「ざっ、ざっ、ざっ・・・」
「いかがでしたか中山さん」
「おじいさん年期が入っていますね。なに、昔流しの真似ごとをなさっていた。
そうですか、なつかしいですね。流しはもうほんとに珍しくなりましたよね。
えーとそれと、一人で伴奏するのは難しくなかったですか。はあ、一人の方
が気楽でいい。なるほどなるほど。じゃあ、これからも健康に気を付けて長
生きして下さいね」
「元気なおじいさんでした。では次の方、次の方どうぞ。あ、親子で。小さな
子供さんも一緒ですか」
「五番、僕らはみんな生きている」
「たんたんたん・・」
「ぷっ、ぷーっ、ぷー・・・」
「しゃん、しゃか、しゃん・・・」
「なかなか楽しい伴奏でしたね、森村さん」
「手拍子・足拍子まで入れて、楽しかったですね。いつも家族で演奏してるん
ですか。なるほど息があってますね。ただもう少しリズミカルにやった方が
もっと楽しいですよ。そう、お父さんの太鼓遠慮しないでね。お母さん、も
うすこしお父さんを引き立ててやって下さいな。おっと、これは私の個人的
感想になってしまいました、失礼」
「では六番の方、どうぞ」
「六番、パントマイム」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「おやおや、これは楽器の演奏のふりだけで、音が出ませんでした」
「あー、森村ですが、・・・・・」
「森村さんも必死にパントマイムで表現しています。これはなにを言いたいの
でしょうか、中山さん」
「私にも分かりませんけど、・・・・・」
「これじゃきりがありませんので、次に行かせて頂きます。次はいよいよ最後
です。元気よくどうぞ」
「7番、仮面舞踏会」
「ずん、ずずんずん・・・」
「どん、どどんどん・・・」
「ぴっ、ぴぴっぴー・・・」
「どうだい、仮装バンドだぞ」
「みんなも拍手、拍手」
「ああー、これは身ぶり手振りがすごくうまい。プロ顔負けです。それに何と
ステージ慣れしていることでしょう」
「おや、あの声は聞き覚えがあるぞ」
「そうそう、どこかで聞いたような」
「やあやあ、どうもありがとうございました。最後を飾るすばらしい熱演でし
た。ちょっとお顔を見せていただけますか」
「いえ、残念ながら顔は」
「では、お名前だけでも」
「御想像におまかせします」
えっへっへっへ。自分の歌に自分で伴奏できたら面白いだろうなあ。