カラオケ編 第4話  <インテリア>


「パパ、スピーカーってなんで四角い箱なの」
「それはね、四角い方が作りやすいし置きやすいからさ」
「○○ちゃん、四角いのは嫌い」
「四角い方が安くできるんだよ」
「でも○○ちゃん、四角いのは嫌いだもん」
「そうかい、でも丸いのはなかなかないんだよ」
「それじゃあ、パパ作ってよ」
「作るって言ったって大変なんだよ」
「お願いだから作ってよ。ね、お願い、お願い、作ってよ、ね」
「しょうがないなー」
「やったあ」

 というわけで、とうとうKはまあるいスピーカーボックスを作ることになっ
てしまったのです。さて名案は。


「うーん、丸いのも作ろうと思えば作れないことはないんだけど、部屋に丸い
 スピーカーボックスどんと置いても変だしなあ」
「また○○に頼まれたのね、まったくあなたは○○に甘いんだから。私には棚
 一つさえ作ってくれないのにね」
「しょうがないだろう、○○を音楽好きの子にさせるんだから」
「どうでもいいけど野暮ったいのだけは作らないでね」
「はいはい、野暮ったくないものね。インテリアとして最高のものを・・・」

  と言いかけた時、彼の頭の中で電球が点滅した。


「うん、うん、うん、インテリアスピーカーね。丸いスピーカーボックスねえ」

  電球は点滅から点灯に変わった。


「丸いのをいっぱい立体配置して、独立マルチ音源カラオケのスピーカー群に
 しよう」
「なにぶつぶつ言ってるの。ときどきあなたは変になるのね」
「いや、なに、いいアイデアが浮かんだものだから、独り言だよ」
「いいアイデアですって?まさかインテリアの代わりにスコッチテリアでも飼
 おうと言うんじゃないでしょうね」
「なに言ってるんだい。そこまで考えられるんだったら、タレントになってい
 るよ。そんなのじゃなくて例のカラオケのスピーカーだよ」
「そうでしたか、じゃあ夢のあるのを作ってね。私買物があるから留守番お願
 いね。それと○○が目をさましたら、トイレに連れていってあげてね」
「はいはい」


  Kは○○の寝顔を見た後、アイデアの続きを考えていた。だんだんアイデア
は具体化されていった。
 
「丸いスピーカーボックスを数個立体的に配置するには、細い棒でスタンドを
 作るのがいいのかな。上から釣り下げるのはどうもな。ほかには、表彰台を
 デフォルメした台に立体的に球体を置くという手もある、いや卵型がいいか
 な」
「柳の枝先にぶら下がるイメージはどうか。それとも果物がなっているイメー
 ジはどうだ」
「ついでに照明も一緒につけよう」
「丸くはないけど、門松みたいに筒の上部を斜めに切ってそこから音を出した
 らどうだ」
「鉢植えを数個のせるインテリア、鉢の代わりにスピーカーは?」


  アイデアは続く。しかし突然、

  「パパ、パパ、来て・・・」
  「なんだい○○ちゃん、もう目をさましたのかい」
  「おしっこー」
  「はい、はい、はい」


  現実はきびしいのである。