マルチ音源編  第2話  <鼓笛隊>


  今日は待ちに待った鼓笛隊パレードの日です。テレビ未来福島の実況放送が
始まるよ。

「さあ、今年で20回となりました鼓笛隊パレードの開始です。今日は雲一つ
 なく、絶好のパレード日和となっております。ここは柳町通り、現在気温は
 18度、さわやかな風が心地よく吹いています。申し遅れましたが本日の実
 況はわたくし山川、お客様に小林さんをお迎えしております。先頭が見えて
 まいりました」

「先頭は例によってファンファーレ隊です。今年の演奏曲は水の戯れです」 
「いやMIDIの戯れですよ」
「失礼いたしました。ちょっと訛ってしまいました。さてこの曲ですが小林さ
 ん、さわやかないい曲ですね」
「トランペットの音の輝き、これが青空と良くマッチしていますね。しかも整
 然と隊列を組んで見事なものです」
「作曲者は誰でしょう」
「実は私です」
「またまた失礼いたしました。さすが小林さんの作曲だけあって、すばらしい
 の一語につきます」
「次の隊が見えてきましたよ」
「次の隊は消防団のようです。赤い色で統一しています、曲はかもめのお便り
 のようです。ちょっと消防団らしくない選曲ですが、演奏はきまってますね」
「これもさわやかないい曲ですね。水に関係するからかもめにしたのかな、で
 もかもめは海鳥だけど」
「今消防団が通りすぎて行きました。あーっ、間違えました。郵便局でした。
 赤いのは、郵便自動車の色でした」
「さて、次は。今度が消防団ですね」
「今度が正真正銘の消防団です。ホースを持っていますので確実です。曲も火
 の用心の歌。これはにぎやかな曲です」
「火の粉が飛んできそうな曲ですけど、昔の町火消しの心意気が伝わる名曲で
 すねえ」
「やっぱり皆さん、自分の仕事に関係ある曲を選曲しているようです。この方
 がのりやすいんでしょうね」
「やっぱり鼓笛隊は元気がいいのが一番ですからね。気分がのらなきゃだめで
 すね」
「えー、4番目の隊がやってきました。これはちょっと変わっています。太鼓
 だけのようです。こういう隊は珍しいですね、小林さん」
「ほんとですね。でもなかなか面白いんじゃないですか。リズムに合わせての
 行進、なかなかいいですよ」
「この隊の名前は、太鼓太鼓隊でした。次はなんでしょう」
「今度は少人数編成ですよ」
「えー、クラリネットに、太鼓鉦、あれ、チラシを配っています。いわゆるち
 んどん屋さんでしょうか」
「これも鼓笛隊の一種なのですね」
「あーっと、これは飛び入りの様です。警備の人に追い出されてしまいました」
「もう少し聞きたかったですね。結構おもしろかったんですが」
「小林さんも、なかなか話の分かる方のようです。最も小編成の鼓笛隊は残念
 ながらいなくなってしまいました」
「さてそろそろおしまいですかな」
「最後はかわいい小学生の鼓笛隊です。バトン隊もいっしょです」
「いやいや、小学生もずいぶん上手になりました」
「そのようです、私の小さい時とは雲泥の差です。楽器も豊富、体格も良くな
 りました」
「私らのころはもっとひどかった。小学生がパレードやるなんて考えられなか
 ったんだが」
「これもこれも、小林先生のご指導の成果ですね」
「いや、父兄の方も熱心だから」
「これで終わりのようなんですが、まだなんか聞こえてきています。さて何で
 しょう」
「後ろに車が10台ほどくっついてますよ」
「あれは大会関係者の車でしょうか。そこから聞こえてきます。いやスポンサ
 ーの車のようです、オレンジのマークが見えています。おや車が道全体にば
 らけました。いったい何が始まるのでしょう」
「おや、車一台一台から別々の楽器が聞こえてくる。楽器を一台ずつ車に積ん
 でいるのかな。いや楽器が見えないぞ」
「音が大きくなりました。まるで車が楽器になったようです。楽器が動き回っ
 ています、いや車が動き回っています。何という光景でしょう、これは。楽
 器になった車たちです。車の鼓笛隊と言うべきか、いや走る音楽隊と言うべ
 きか。曲は夢に向かって走れだ」
「うーん、おもしろい。こんなのよく考えましたな。実際どんな具合いになっ
 ているのかしら」
「あ、車の横に何か書かれています。えーと、独立マルチ音源無線システム開
 発記念と書かれています」
「ああ、アンテナとスピーカーが見える」


「ふふふふふ・・・」