マルチ音源編 第3話 <空気が違う?> 生演奏のあのざわざわという感じはいったいなんなんでしょう。周りが完全 に静かにできないからでしょうか。それとも期待で胸がわくわくするからでし ょうか。長い間疑問に思っていました。しかし独立マルチ音源の音を聞いてそ のわけが分かったのです。それは独立マルチ音源でも似た感じがしたからです。 しかしステレオではこういう感じはないんです。いくら音がいい装置でも感じ が違うんです。そこで私は考えました。これはきっと空気の問題じゃないかと。 「やっぱり独立マルチ音源はいい」 「音が立体的だからね」 「それだけじゃなさそうだ」 「混変調歪の問題かな」 「確かに混変調歪は少ないはずだけど、それ以外にも何かがある」 「うーん、なんだろう」 「あの生演奏の、音がざわざわと言う感じが出るんだ」 「確かにあれは不思議だね。ステレオじゃ出ないんだよ、あの感じは」 「音が良いとか悪いとかそういうんじゃないんだよな。もっと基本的な何かが 違うんだ」 「やっぱり、楽器毎にスピーカーが違うからなんだろうね」 「各楽器の音が、生演奏と同じように出て来るからだろうか」 「ステレオじゃあ、電気的にミックスしてから音を出しているから、違うのか なあ」 「どうもこの辺の違いが効いてるんじゃないかなあ」 「うん、独立マルチ音源は空間で音が混じり合うから違うのかなあ」 「要すると空気が違うんだよ、そんな気がする」 「空気の違いか、感覚的だけど分かるような気がする」 「空中で音同士がぶつかり合うのと、電気信号がぶつかり合うのとでは様子が 違うんじゃないのかなあ」 「確かめたわけじゃないからはっきりとは言えないけど、そういう可能性もあ るな」 「世の中、分からないことっていっぱいあるよね」 「そうだなー、新しいことをやればやるほど疑問が増えていくんだ」 「それが進歩につながるだろうね」 「うん、そういうこと」 以上あくまでも仮説です。しかしあのざわざわ感は実に不思議です。逆に生 の演奏家はきっと、ステレオののっぺら感が不思議だと思っているんでしょう。