マルチ音源編 第8話 <問題作> 20世紀末のある日、デモ隊がマルチ音源装置を壊しながら首相官邸前にや ってきた。 「どうしてくれるんだよー。こんなの認めてよー」 「そうだ、そうだ。わしら困るんだよう」 「わしらに真似できないものを作られたら、困るんだよー」 「わしらの伝統文化が台無しになるんだよう」 「長い間かけて技術を積み上げてきたのによー、どうしてくれるんだよー」 「こんなの文化破壊だよう」 「マルチ音源なんて、インベーダーだよー」 「マルチ音源絶対反対だよう」 「マルチ音源の勝手にはさせないからな」 「そうだ、一曲たりともマルチ音源には演奏させないぞ」 「みんなで結束して阻止するぞ」 「わーわー、マルチ音源出ていけ」 「ステレオの伝統を守れ」 「文化破壊を許すな」 「子孫のために、美しい文化環境を」 「得体の知れないもの反対」 「マルチ音源には毒があるぞ。沢山聞くと頭がおかしくなるぞ」 「そうだ、ステレオは安全だぞ。長い間の実績が有るぞー」 「団結頑張ろう」 「マルチ音源に鉄槌を」 「スピーカーのお化けにだまされるな」 「マルチ音源禁止の法律を作れ」 「わーわー、首相は責任とれ」 「困りましたね、首相どうします」 「うーん、このままでは、大人しく帰ってくれそうもないな」 「何か約束しないといけないでしょうね」 「しかたがないな。このままでは内閣がつぶれてしまいそうだ」 「法案作りを約束しましょう」 ああ、げに恐ろしきは圧力団体。 それ以後マルチ音源は非合法となり、今では私設博物館に1セット残るだけ となったとさ。