オムニバス編 第1話  <サウンドシャワー>


「最近肩が凝ってね」
「ああ、おれは血圧が高い」
「なかなか夜も、寝つきが悪くてね」
「こういうご時勢だから、苦労が多いよな」

  そうです。ご苦労なさっている全てのお父さん方に朗報。ストレス解消にサ
ウンドシャワーはいかが。


「こんにちは、ここが新しくできたサウンドシャワーハウスですか」
「はい、さようでございます」
「近ごろ肩が凝ってね。ひとつストレス解消に、サウンドシャワーなるものを
 浴びてみたいんだが」
「さようでございますか。ではご案内致します」

「こちらでございます。個室になっておりまして、30分○○円、1時間○○
 円でございます」
「この部屋で音を浴びるのかい」
「はい、いろいろな音がありまして、お客様に自由に選んでいただけます。こ
 この画面がタッチパネルになってますので、お好きなものをお選び下さい。
 照明は自動的に暗くなります」
「わかりました」
「では、ごゆっくりどうぞ」

「ふーむ。どの音がいいかな。この野鳥のたわむれというのはどうかな」

「ああー、ほんとの森の中にいるようだ。気持ちがぐっと安らぐなあ。おや、
 この香りはなんだ。木の香りか。ははー、音と香りでリラックスさせるもの
 なんだな。うーん、だんだん落ちついてきたぞ。でも、どうしてこんなに落
  ちつけるんだろう。なんか音が気持ちいいんだよな。人工音なのにどうして
  かな。そうか、音が四方八方からバランスよく聞こえてくるんだ。よくでき
  ているじゃないか。うーん、本当に自分が森の中にいる雰囲気なんだ。でも
  この音は、ステレオじゃあないな、新しい立体音だな。なるほどなるほど。
  ふむふむ。おや、明るくなってきたぞ。そろそろ終わりか。さーてと音の出
  るところをよく見ておこうか。ちょっと分かりにくいけど、あー、周りがス
  ピーカーだらけになっている。ひょっとしてこれは・・・。そうか、カラオ
  ケアンサンブルの応用か。いやはやこんなところにも」


  ちょっと、ちょっと、お父さん、こんな所で仕事を思い出すと、益々肩が凝
りますよ。

 まずはリラックスが大事です。