オムニバス編 第3話  <もぐらたたき>          


 えっへん、新しいもぐらたたきだ。どんなやつかって?もぐらが出て来る代
わりに人形から音が出て来るんだ。それで、音が出てきた人形をたたくという
寸法さ。音が出ると言ったってただ出るんじゃないぞ。16個の人形のうち、
何個かから同時に出るんだ。それにたたき間違えると減点されるんだ。低音が
出たときは間違えやすいぞ。低音は定位感がないから、どこから音が出ている
のか分からないんだ。

「あのー、こんなの考えてみたんですけどね」
「うん、面白そうじゃないか。もう少し具体的に考えてみたら」
「そうですね。単純な音じゃつまらないから、メロディーをつけたらいいんじ
 ゃないかと」
「そうか、音符毎に音の出る人形を替えるのか」
「テンポの遅い曲はそれでいいと思うんですけど、テンポの早い曲は1小節ご
 とに替えようと思います」
「その時は当然乱数を使って、どの人形から音が出るかは毎回毎回替えるわけ
 だ」
「ええ、そうです」
「複数の人形から音を出すには?」
「普通の合奏、カルテットの様にしたいと考えています」
「なるほど、カルテットと言ってもいつも4台まとめて音が出るわけじゃなく
 て、時にはソロになったり、2台合奏になったりするからな。ん、というこ
 とは、もぐらたたきをやってる最中、カルテットの演奏会ということか」
「そういうことになります」
「うーん、音が1小節ごとに音がバラバラに聞こえて来るカルテットかい。ち
 ょっと具合いが悪いんじゃないかい」
「そう言われればそうですね。もぐらたたきの最中はやっぱり、普通の単純音
 にした方が違和感ないでしょうね」
「ああ、でもカルテットも魅力あるな」
「それじゃあ、得点に応じて最後に音楽演奏させましょうか。得点が高くなる
 にしたがって、ソロから16チャンネルまでにして。もちろんこの時は、乱
 数は使わず、音源は固定にします」
「それはいい。でさっきのもぐらたたきの最中の音の件だが、やっぱりもう少
 し工夫した方がいい」
「そうですね。単純すぎますよね」
「メロディーだけのユニゾンにしたら、それほど違和感はないんじゃないかな」
「なるほど、そうですね」


 もぐらたたきねえ。たたくのはかわいそうだから、撫でてあげたらどうでし
ょうか。人形も工夫して。

  あなたならどうしますか。