一般音楽編 第10話  <アナログ録音>


  デジタル全盛の昨今。あえてアナログを考えてみたい。

「CDの音っていいですね」
「ぼくはあまり好きじゃない」
「ノイズは少ないし、ダイナミックレンジは広いし、音搖れもないし、いいと
 こずくめだと思ういますけどね」
「音が悪いとは言わないよ。でも曲が替わっても何か同じように聞こえるんだ。
 ある種の癖があるね」
「あんまり気にはなりませんけど」
「僕らは小さいときからアナログレコードを聞いて育ってきたから、やっぱり
 違いが気になるのかな」
「どこがいちばん違うんでしょうね」
「高音は絶対違うね。CDじゃ、ある周波数以上は再生不可能だからね」
「サンプリング周波数で決まっちゃいますもんね」
「人間の聴力の限界は20Kヘルツというけれど、聞こえなくても感じとるも
 のがあるんじゃないのかな」
「あとは?」
「特定の周波数の音が変だという説がある。新聞に出ていたな」
「うーん、でも総合的にはCDの方がメリットあるんじゃないでしょうか。扱
 いも楽だし、音の経時変化もないし」
「確かに一般の人にはそうだろうね。でも音を極めたい人はやはりアナログだ
 よ」
「アナログの欠点は取り除けますかね」
「アナログの欠点と言うより、現状技術の限界でそうなっているんだ。アナロ
 グ自体に欠点はないよ、そもそも音はアナログなんだから」
「ということは、大いに希望有りですね」
「そう、技術が進歩すれば、それだけアナログの音が向上するってわけさ」
「例えばどんな事が考えられますか」
「一つは制御系はデジタルに任せて、信号系だけアナログにするのさ」
「なるほど、制御系がデジタルでも、信号系がアナログだと、音はアナログっ
 ということになりなすね」
「簡単のためにカセットテープで考えると、音声信号トラックの他に制御系の
 トラックを設ければいい。そうすれワウ・フラッタはうんと小さくできる」
「ビデオってそうなっていませんでしたっけ」
「そう、ビデオはそうなっている」
「それじゃあ、はじめからビデオテープを使って音楽専用アナログカセットレ
 コーダーにしたらいいと思いますが」
「その通り、映像の部分も全部音声に使えるから相当高音質のものができるぞ。
 ヘッドもテープの材質も最高のものにしてと、メカもなるべくビデオと共通
 化して安くできないかな」」
「でも昔のLカセットの二の舞にならないようにしないと。音がいいと言った
 って、似たようなのが出てきてもあまり売れないんじゃないでしょうか」
「そこが問題だ。真似のできない特徴がないとな」
「ひょっとして何か考えてますね」
「うん」
「きっとあれでしょう」
「そうマルチトラックの録音さ。独立マルチ音源さ」
「アンプとスピーカーもセットにしてですね」