通信編 第2話  <失敗は成功のもと>


「皆さんこんにちは、若手漫才界のホープ、春風一番です」
「同じく、春風二番でーす。どうぞよろしく」
「なあ、二番ちゃん。昨日うちで変なことあったんだよ」
「なに、どんなことじゃ」
「急に荷物が増えた」
「おまえ、悪いことしたのか。黙ってどっかから持ってきたんだろ」
「いやそうじゃないよ、家に帰ったら荷物があったんだよ」
「どんな荷物じゃ」
「うーん、それは・・・」
「どんな荷物じゃ」
「うーん、・・・」
「まるいものか」
「うーん、・・・」
「四角いものか」
「うーん、・・・」

「おーい、若手漫才界のホープどうした。せりふ忘れたのか」
「おたおたするな。ちゃんとやれー」
「へたくそー、金かえせ」

「うー、失礼しました」


 こうして二人は大事な舞台で大失敗をしてしまったのです。帰り道の途中、
二人の会話。

「今日はごめん。せりふ忘れてしまって」
「いや、おれもうまくフォローできなくて」
「言い訳みたいだけど、徹夜でアルバイトしてたもんだから」
「おれもだ」
「君も?」
「ああ、24時間スーパーの店員さ。君は」
「ぬいぐるみの特撮。悪者その他大勢の役さ」
「お互い、売れるまでは大変だよな」
「でも、もう舞台に立てないかもな」
「うん」
「こんなことになって、ごめん」
「ああ、でももう一回だけ頼んでみよう」
「大丈夫かな」
「顔出さないということで、なんとか」
「え、顔出さないで漫才できるの」
「二人で、君が得意のぬいぐるみをかぶろう」


  こうして二人は、かろうじて最後のチャンスをもらうことができました。


「皆さんこんにちは、若手漫才界のホープ、北風一番です」
「同じく、北風二番でーす。どうぞよろしく」


「おいおい。あれは、こないだ大失敗した春風一番二番じゃないか」
「きっとそうだ。顔出せないもんだから兎のぬいぐるみかぶって、名前も変え
 たな」
「でもぬいぐるみかぶってる割には、よく声が通るな」
「マイク使ってしゃべってるんじゃないか」
「でも、動きまわっても全然声が乱れないぞ」
「ああ、それに全然とちらない」
「ひょっとして録音かな」
「うん、そうみたいだな。でも体が動くと声も一緒に動くぞ」
「不思議だなあ。一体なんなんだろう」
「おい、あの兎どっかで見たことないか」
「あれは、確かエスエス製薬のマスコット」
「それと兎の耳の所にアンテナみたいのがあるぞ」
「ということは」
 
「SS通信だあー」


  そうです、SS通信で二人のせりふを送ってたんですね。二人は別々にスピ
ーカー付きの受信機を持って、それぞれのせりふを出していたんです。二人分
のせりふなら、ステレオ録音すれば可能です。人数が増えた場合は、マルチト
ラック録音となります。
  この様なことは、一般向けにはいわゆる”しばおけ”や、アマチュア人形劇
に応用できます。(と、思うんですが)

  SS通信のお話でした。