通信編 第3話  <SS劇場>


 ここの劇場には舞台がないのだ。

  舞台だけじゃなくて、客席もないのだ。

  客はみんな、立って芝居を見るのだ。

  どうやって芝居をやるのかだって。

  実は観客のぐるりが舞台なのだ。

  俳優は観客の四方八方で芝居をする。

  だから客は座ってられないのさ。

  面白いだろう。

 音はどうやって出すんだって。

  ピンときた人は勘がいいな。

  前にで出てきたやつとおんなじだ。

  俳優がみんなスピーカー付きの受信機を持っているのさ。

  それだけじゃないぞ。

  たまにはマイクを使って自分で演技しながらしゃべるんだ。

  どうだ面白いだろう。

  今度の出し物、期待しろよ。

  怪奇物語だ。

  最後は妖怪が客の間になだれ込んでくるぞ。

  恐いぞ。

  周りが妖怪だらけだから、逃げられないぞ。

  心臓悪い人は遠慮しろよな。

  どうしても見たいって。

  じゃあ、SS製薬の薬持っていきな。