悪口編 第4話 <保守の権化> 「技術屋のくせに、音楽音楽ってよく言うよ」 「自分じゃ全然楽器できないのにさ」 「耳が悪くて音なんか分からないだろうに」 「そうそう、変な人だよ。まったく」 「技術の粋を集めるって言うのならわかるけどね」 「その方がみんなも分かるのにね」 「それになに、あのマルチ音源て言うのは」 「全然技術的でないね」 「スピーカーそこに置いてるだけだもんね」 「全然革新性がないね」 「生演奏真似しただけだもんね」 「基本的には保守的な発想だね」 「そう、あんなの技術じゃない」 「一種の懐古趣味だね」 「これからのオーディオはあんなんじゃない」 「技術を駆使して自由自在な音を作るんだ」 「音場もコンサートホールみたくしてさ」 「そうそう、技術がすべてさ」 「技術が音楽をリードするのさ」 「それが技術屋の仕事だよ」 「オーディオの真髄は技術だよ」 「アンサンブルなんて関係ないの」 「音が気持ちよく聞こえるのが大事なの」 「原理原則にこだわるなんてやっぱり保守的だよ」 「保守の権化だよ」 「口では新しい装置だって言ってるけど、中身は保守的なんだ」 「そう、新しいことは何もない」 「無線の代わりに、テレパシー研究してる様なもんだね」 「現代医学の代わりに、漢方薬研究している様なもんだね」 「結局は古いんだよね。あの人は」