【雨男、三度朝日に行く】

【日 程】2003年9月27日(土) 〜 28日(日)
【山 域】朝日連峰
【山 名】竜門山、寒江山、大朝日岳
【天 候】曇時々晴または雨
【メンバ】単独
【コース】9/27 日暮沢→竜門小屋→寒江山往復
(概 略) 9/28 竜門小屋→大朝日岳→日暮沢へ下山


*9月27日(土)


日暮沢(8:03)---(9:18)ゴロビツ水場(9:25)---(10:16)清太岩山---(10:51)ユウフン山---(11:23)竜門山---(11:33)竜門小屋 


一ヶ月ぶりの日暮沢はすでに車の行列が出来ていた。車列の最後尾に向かうと西川山岳会のT氏の姿があった。事前に今日入ることは確認済であったが、時間までは確認してなかったので偶然とは恐ろしい。6月以来だから笑顔で挨拶を交わす。今日の竜門は晴れるよとのお言葉を頂く。一緒に登ろうとのお誘いを受けるが、こちらは鈍足、それに段取りに時間がかかるので先行してもらう。

それにしてもこのコースの前半は辛い急登が続く。合体の木(勝手に命名)までは汗が滝のように流れただただひたすらゆっくり焦らず歩を進める。清太岩山までは次第に傾斜は緩くなるものの多少のアップダウンがあり忍の一字だ。傍らの慰霊碑に黙礼し直角に曲がると清太岩山のピークが見える。先行していたT氏らしい姿が見えた。やはり足が速い。ここから一登りで三角点のある清太岩山、稜線に飛び出るが一旦下ってまた一登りするとユウフン山から竜門山までの稜線はいい具合に色付いている。

主稜線は残念ながらガスの中だが、天狗方面はクリアーだ。ひょこんとした障子ヶ岳の姿が懐かしい。本当に久々に目にする眺望だ。左右非対称の稜線はこの山域の豪雪と強風を十二分に物語っている。それにしても錦秋の稜線には心が洗われ自然に顔の筋肉が緩む、本当に綺麗だ。

突然雲が切れ主稜線が見えた。目指す竜門小屋がすぐ近くに見える。竜門山がすごく高く見え気持ちが萎えかかるが、すぐにまた雲の中に消えた。早く来いと催促しているかのような自然の悪戯か。登山道はずっと綺麗に刈り払われ快適だ。関係者のご努力に感謝する。

何とか竜門小屋に到着しドアを開け中に入ると久々に見る管理人の人達が笑顔で迎えてくれた。挨拶していると私の名を呼ぶ声、縁とは奇遇なり、こちらにも久方ぶりに会うI氏の姿びっくりした。挨拶もそこそこに管理人のお一人IN氏は早々に狐穴小屋に移動とのこと、お気をつけてと送り出す。重い靴を脱ぎ荷物を隅に置くとすぐにカップを出せとの催促、冷えたビールで乾杯。私事で恐縮だが今年は阪神タイガースが18年振りにリーグ優勝した年、T氏と私は熱狂的なトラキチである。その祝賀会も今回の山行目的の一つ(他の球団のファンの方ごめんなさい)その後延々と酒盛りは続いた。

途中誰かの晴れたという声、皆いっせいに外に飛び出す。午後の日差しに染まった主稜線の紅葉が目に染みるほど綺麗だ。I氏から「おい、寒江まで行くぞ」とのお誘いがあったので少々酩酊気味だがお供する。が、次第に空はご機嫌斜めの様子、以東岳の展望を期待するが叶わなかった。南寒江山で引き返す。以東岳までピストンした人にお会いしたがガスの中何も見えなかったという。またの機会に楽しもう。

この日の竜門小屋は満員御礼、山形大学ワンダーフォーゲル部の面々が清掃登山で各登山口から登っており今日ここに集合し明日下山とのこと。その数25名、30年来続いている伝統行事だそうです。若いと言うことは素晴らしい、夜遅くまで盛り上がっていたようだが苦情が出たようで、呑み足りない面々は外で続行の様子、夜遅くと言うが、まだ7時8時の世界、そんな時間に寝ろと言うのも酷な気がした。でも、我々トラキチは管理人室の中に入りドアを閉め、時折大きくなる声に気を遣いながら延々と優勝を喜び合った。もう最高に楽しい一夜を過ごさせてもらいました。やっぱり山は泊まらなきゃね。




*9月28日(日)


竜門小屋(7:00)---(7:56)西朝日岳---(8:49)金玉水---(9:03)大朝日小屋---(9:20)大朝日岳山頂(9:50)---大朝日小屋(10:00)---(11:18)古寺山(11:28)---(12:04)古寺鉱泉分岐---(13:38)日暮沢車道終点


前日の酒が効いて起きるのが遅くなった。辺りの登山者は4時頃から出発の準備で賑わうが頭がガンガンし起きれなかった。起き出してすぐに天気を確認すると曇っていて時折雨が落ちてくる。風はほとんどないので他のお客さん達は早々に朝食を済ませると先を争って大朝日に向かった様子。山大の学生達も大きな荷物を背負って次々に出発、今日は皆日暮沢に下山とのこと。ご苦労様と見送る。

さてと私も朝食を作り、急いで食べると出発の準備を整える。管理人さんから今日の予定を聞かれたが迷わず大朝日経由と答えた。多分大朝日に立つ頃にはピーカンとなるであろう。その旨を伝えると缶ビールを一本、頂上で乾杯してくれとのこと。ありがたく頂く。
出発は一番最後になったが久々の主稜線の縦走には静かでよい。見事に色づいた縦走路を気持ちよく歩いた。

途中、西朝日への登りと中岳の登りは、昨夜の深酒がたたりしんどい思いをしたが、ほぼ予定通りの時間で金玉水まで歩けた。少し下って名水で喉を潤すと生気が蘇る気がした。以前ここは幕営地だったが今は禁止の筈、ロープが張ってあった。

ここから大朝日小屋までは緩い傾斜の登りが続く。まずは荷物を小屋に預け空身で頂上まで登るととにかくビールで乾杯。景色は雲が切れず連峰の雄大な山並みは見えず終い。頂上には朝日鉱泉からナカツル尾根を登ってきた方がいて、辛い登りを嘆いていた。彼はここ2〜3日で鳥海山、月山と山形の主要な山を歩いてきたらしい。鳥海では最高の天気に恵まれたらしく良い山だったと言っていた。

眺望はなくとも連峰最高峰の雰囲気はすこぶる良く、谷から上ってくる雲が高山の雰囲気を盛り上げる。主脈は見えないものの、派生した尾根が朝日の奥深さを雄弁に物語っている。この雰囲気がたまらなく好きだ。適度に色付いた尾根沿いの低い木々は豪華な絨毯のようだ。一瞬の晴れ間を30分程待つが雲は切れなかったので下山を決意、さっさと降りる。

朝日の稜線には大朝日、竜門、狐穴、以東と4つの山小屋があるが、どこもそれぞれ違った雰囲気を持っていて面白い。一度くらいゆっくり全部の小屋に泊まりながら縦走してみたいのだが、いつもマイカー登山のためなかなか叶わない夢だ。単独行の人を下山後車に乗せたことはあるのだが、初めから当てにして登るというのも少し無理がある。何か良い知恵はないのかといつも考えるのだが.....

ここから日暮沢まではほとんど急登のない下りオンリー、靴の紐を締め直し気合いを入れて歩き始める。途中銀玉水の辺りでは登山道整備の工事をしていたが今年の分はほぼ完了の様子、明らかにこちら側は登山者が多い、頻繁に行き交う。途中東北森林管理局の方より森林生態系保護地域のPRパンフレットを頂く、マナーを守って楽しい登山をとのこと。

熊越の斜面はガスの中、小朝日への登りを少し行くと左へ折れ巻道へ、この辺から人がまた少なく寂しい雰囲気、久し振りのルートは懐かしい、何年振りかと考えながら歩く。
古寺山の頂上で昼食休憩、雨が少し強くなってきた。急いで食べ出発、樹林帯の中に入れば少々の雨も気にならない。三沢清水の美味しい水で喉を潤すと下りが急になる。だんだんブナの巨木が見え出すと古寺鉱泉への分岐も近い。

ハナヌキ峰への登り返しを過ぎ後は下るだけと言う頃に、昨夜の管理人さんの話を思い出した。目の前には大きなミズナラの木がある。まさかと思って見回すと、、、何と偶然とは恐ろしいもの、舞茸がひっそりと私を待っていてくれたのである。思わず一人歓声を上げ万歳を3回、早速ザックを放り出し幻のキノコを頂く、生まれて初めて天然の舞茸を見た。暫くその場を動けなかった。この感覚は以前この山でで熊に会ったとき以来の感覚である。

嬉しさの余り急な坂を駆け下り林道終点の駐車場まで来ると一台の車、よく見ると見覚えのある顔が、なんと竜門小屋管理人のE氏であった。早速戦況報告し獲物を見せる。聞けば彼もまた舞茸を狙ってここまで来たとのこと。彼の車に荷物を放り込み付いていくことにする。獲物を目にした彼の何と足の速いことか、疲労困憊の身には辛かったが、こちらも先程の興奮が未だ残った身、同じ穴の狢とはこの事か。

何本かの木を教えてもらうが、成果の無かったのが残念、彼は来週また来るとのこと、そのまま彼の車で登り口に置いてある愛車まで送ってもらう。荷物を片付け車に入ると雨が音を立てて落ちてきた。

やれやれ、本格的に雨に好かれたらしい.....

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