【秋深い丁岳と萱森】

【日 程】2003年10月26日(日)
【山 域】山形・秋田県境
【山 名】丁岳(ひのとだけ)(1146m)、萱森(かやもり)(1070m)
【天 候】晴
【メンバ】単独
【コース】登山口→観音岩→丁岳→萱森→観音森→登山口
(概 略)


登山口(7:05)---(7:56)観音岩---(8:28)丁岳山頂(8:45)---(9:20)風のコル---(9:42)萱森----(10:05)次ピーク(10:21)---(10:49)観音森---(11:53)登山口


鳥海山の雪がかなり下まで降りてきたようで、寒いのが苦手なので低山散歩に切り替え、気になっていた丁岳に行って来た。

国道13号を北上し山形・秋田県境の雄勝トンネルを抜け院内の入り口付近で右折し108号線で本荘方面に向かい上笹子付近を左折、後は道なりに案内標識を頼りに林道を進むと丁岳の登山口に着く。駐車場には何台かの車がすでに並んでいた。

先週、与蔵沼の帰りに鮭川辺りで気になる山が見えたので帰ってから色々調べているうちにこの山の登路を知った。地図上では丁岳の山頂付近だけが山形県になっているが、稜線伝いに県境が認められ秋田山形どちらの山か判断に迷う。このコースは、丁岳山頂から萱森、観音森と周回し同じ登山口に戻れるというマイカー派には嬉しいコースだ。

今回はとにかく丁岳まで行こうと考え、その後余裕があったら周回し無理は厳禁と固く誓った。橋を渡り登り始める。登山路は両側が切れ落ちた尾根道が続く。紅葉が登山口付近が盛期で錦秋のトンネルの中を登る感じだ。朝日がだんだん高くなる。萱森と思われるピークがとても高く見えた。いきなりの急登に胸の鼓動が高鳴り朝の冷気が気持ちよい。

丁山頂まではブナの落ち葉を踏みしめひたすら登るだけ、サクサクと気持ちの良い音が響く。850m付近が観音岩、近くには水場がある。こんな岩だらけの尾根に水場があるのが不思議だ。早速喉を潤す。

こういう単調な登りは確かに辛いのだが、最近何故かあまり苦にならない。もっとも日帰り登山で荷物は無いに等しいのだが、ふと気が付くと道は緩やかになり山頂が近い事がわかる。
一等三角点のある山頂部には小さな石碑がある以外特に何もない。展望も利かないので先に進むと数人が一服しているピークでこちらも一服、鳥海山は見えないが、かなり良い展望、丁山地が一望できる。遠くに神室山から連なる嶺々が朝日に霞んでいる。いつかあそこを縦走したいと思っているのだがいつになることか。
予定より早い時間なので先行者達も出発したので後に続く事にした。

ここから萱森までは両側が切れ落ちた稜線伝いのアップダウンが続く。登りはまだ良いが、急な下りでは濡れた木の根が落ち葉に隠れていて思わぬ所でスリップし怖い。慎重に下る。時折強い風の音がするも、この道は竹が高くほとんど影響されずに進める。アルプス辺りではこうはいかない。以前突風で怖い思いをしたことがある。
途中、真室川方面下りの看板、地図にはない道があるのだろうか。

風のコル(名前がよい)付近で標高900m程、200m以上下ったことになる。見上げると萱森の頂が高い。鋭角に尖った山容は本当に槍ヶ岳を小さくしたようだ。当然登路は急だ。時折手も使い熊のようによじ登る。這々の体で何とか頂きに、振り返るとさっきまで隠れていた鳥海山も顔を出し最高の展望である。

丁岳の東面は絶壁である。ここから眺めるとなかなか絵になる光景で、早速カメラを取り出し撮影、振り返るとここより隣のピークの方が高いのがわかる。でもそこに至るルートはせっかく登った萱森をまた降りるのと同じくらい下ってまた登り返すのだ。眺めると下が見えない。

滑る足下に気を使い慎重に下り、またまた急な登り、本当に熊にでもなった気分だ。
やっとの事でピーク、大休止、高度計を見ると1125m、萱森より50mは高い。振り返るとこれも絶景である。さっき立った萱森のピークを見下ろすのも気持ちがよい。後続者が休憩しているのが見えた。丁山地東面の甑山、加無山がよく見え、いつかという気持ちになる。十分に景色を堪能し、観音森に向かう。また下って登り返すのだ。疲れるなあ.....

観音森ピーク手前の見通しの利かないカーブで嫌な予感がした。熊の気配がするのだ。大きく咳払いし、ひと唸りして先に進むと足が止まった。先を見ると何やら大きな動物がいた。カモシカである。じっと道の真ん中に堂々と立ち止まり通せんぼしてこっちを睨んでいる。やれやれ、脅かすなよ。口笛を吹きながらカメラを取り出し至近距離から一枚撮る。それでも逃げないのでもう少し前に進むと向こうも息を荒くしてこちらを威嚇している様子。足を止めて睨み返すと少し先に進みまたこちらを見ている。かまわず歩を進めると、また威嚇するが、すぐに谷の方に逃げていった。熊の場合はこうはいかない。

観音森で最後の眺望を楽しみ後は下るだけ、最初の下りは急で慎重に下るが、後は気持ちの良い下りが続き、目はもうキノコを探している。何だか知らないが美味しそうなキノコが朽ちたブナにはえていた。急いで採り駆け下った。登山口にいた地元の人に聞いたらムキタケというとても美味しいキノコだということ、お土産にして帰路についた。


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