【長坂道と二の滝口の滝巡り】
【日 程】2003年11月2日(日)
【山 域】鳥海山
【山 名】笙ヶ岳(1635m)
【天 候】晴
【メンバ】単独
【コース】二の滝駐車場→万助道渡戸→長坂道ガラ場→笙ヶ岳→鳥海湖→
(概 略) 千畳ヶ原T字分岐→二の滝コース下山→二の滝駐車場
二の滝駐車場(6:55)---(7:31)万助道分岐---(7:37)渡戸渡渉点---(8:17)長坂道ガラ場---(9:52)笙ヶ岳(10:07)---(10:53)鳥海湖(12:06)---(13:10)月山沢渡渉点---(14:00)森の清水---(14:42)峡霧橋分岐---(14:54)二の滝---(15:09)駐車場
長らく鳥海山に登っているが、恥ずかしい話、この年の6月に初めて万助道から、まだ一面の雪原である千畳ヶ原に登った。天気も良かったせいか万助道から見た笙ヶ岳への稜線が強く印象に残っている。言葉に言い表せぬほどの威厳と優雅さを持ったシルエットが、すっと伸びている光景に暫し呆然と佇んだものだ。
コースそのものはずっと以前より知ってはいたものの、なかなか登ろうという気が起きなかった。そのころは心がまだ未熟で七高山の方にしか魅力を感じなかったのであろう。ひたすら湯の台コースからの山頂に夢中になっていた。手元の地図もずいぶん昔のもので、最新の情報もわからなかったのだ。駐車場にトイレも新築され、水場にも豊富な水があふれ、標識も整備され遊佐方面の登山基地としては申し分ない環境が整備されている。
遊佐方面の登山路はいっぱいあるが、長坂道、万助道、二の滝口の3本は上部も下部も繋がっていることに気付いたのは、恥ずかしながら最近である。現在は、三の滝付近の吊り橋(狭霧橋)も新設され大変便利になった。いつも見慣れた景色も角度を変えてみるとまた違った感じに見え、新鮮な気持ちでこの山に接することができる。
二の滝の駐車場に車を置き、そのまま車道を暫く登り道標に従い万助道に向かう。狭霧橋の分岐を左に進み水場を過ぎ少しのアップダウンの後、十字路を右に曲がると万助道、すぐに渡戸の渡渉点に出る。そのまま沢を渡り沢の右岸側を登る。左岸側が万助道で暫く平行する。緩やかな登山路を暫く登ると700m付近から木立が低くなり、800m付近から少し勾配が増す。トラバース気味の笹藪を抜けると長坂道のガラ場に着く。ここで視界は完全に開け眼下のブナ林が綺麗だ。あいにくこの日は遠望が効かなかったが、晴れていれば気持ちがよいだろう。
さてこれからが本番、ひたすら登りが続く。道は綺麗に刈り払われ快適だ。稜線伝いに延びた登山路は偽ピークがいくつもあり、そのたびにがっかりする。それでも時折立ち止まり景色を眺めると気が紛れる。登山者の絶対数が少ないのか、掘れたところもほとんど無くとても歩きやすい。歩く距離に比例してだんだん本峰が近づき迫力が増してくる。ふと目を転じると遥か下方に万助小屋が小さくポツンと建っている。小屋の水場が山腹から突然湧き出して流れているのが光線の加減で光って見える。ふと耳をすますとゴオーっと水の流れる音が風に乗って聞こえてくる。
這々の体で笙ヶ岳山頂、駐車場から、考えてみると標高差1200m程、疲れるはずだ。思いの外広い山頂部には傾いた三角点の標石がポツンとあり意外に展望がない。このコース夏には高嶺の花達が綺麗に咲きそろうことだろう。楽しみが増えた。
笙ヶ岳から御浜へ続く稜線は緩やかなアップダウンが続く、そっちに進む前に一服、枯れ草のベッドでゆっくり横になる。うっすらと雪化粧した本峰が鍋森の向こうに大きく迫りなかなかの絶景である。こちらからの鳥海もまた違った魅力がある。何というか、鳥海の中に別の鳥海があるような異次元的雰囲気だ。
大平への分岐点付近で数人とすれ違う。皆大平から笙ヶ岳を目指す模様、今回は御浜に寄らず途中からトラバース気味の道を鳥海湖へ向かう。この辺で急にお腹が鳴って空腹に気付く。昼飯時だ、せっかくだから鳥海湖の水辺まで降りてランチとする。11月なのに山の上でTシャツ一枚ですごせるなんて、でも少し上では雪が残り、風が強そうで山頂部は時折雲に隠れ寒そうだ。枯れ草の上にドッカと腰を下ろし満腹、日頃の夜更かしがひびいてか、すぐに眠くなり、ゆっくり昼寝をする。後は下るだけだから気持ちは楽だ。
鳥海湖からの下りは以前通ったときより随分掘れた感じがした。測量した跡があったので来年あたり整備するのかも知れない。以前行った北アルプスの太郎平から北ノ俣岳の登山道のようになる前に対処できるものならお願いしたいものだ。同じお金をかけるなら早いうちに手を打った方が絶対安く楽に出来るのにと思う。
千畳ヶ原のT字分岐から二の滝口へ向かう。ここは春に登ったときガスにまかれて散々迷ったコース、でも今は木道が完全に整備され迷いようがない。景観の観点から見れば少々問題はあろうが、今の時代これが最善の方法なのだろうと自分で納得する。でもねえ.....
月山沢の渡渉点を過ぎれば二の滝コースの核心部、不動滝、龍頭滝、龍ヶ滝、雲龍滝、仙龍滝、額絵の壺、玉粋ノ滝、三の滝、間の滝、二の滝の滝巡りの道が続く。
今回は、ブナの落ち葉が厚く積もり、新雪の中を歩くようなもので道の凹凸が全然わからず非常に歩きづらかった。急きょ、枯れ枝でダブルストックを拵え、へっぴり腰で降りてきたものだから身体のあちこちが痛い。
東北の名峰鳥海に、山頂を目指す以外にも素晴らしいコースがあることを再認識することの出来た日でもありました。