【外輪からの春スキー】

【日 程】2004年5月23日(日)
【山 域】鳥海山
【山 名】伏拝岳(2130m)
【天 候】晴れ
【メンバ】単独
【コース】湯の台から往復(アルペンスキー持参)
(概 略)


鶴間池入口(8:45)---夏道駐車場(9:55)---(11:22)1685m昼食休憩(12:35)---(13:24)雪渓末端(13:30)---(13:54)伏拝岳(14:05)---(15:30)車着


朝から天気が良かったので久々に鳥海に向かう。湯の台から車道を行けるところまで、鶴間池の入り口付近に車の列、無理をせずここから歩く。いま流行のテレマークやシールを貼った山スキーでの登行をかたくなに拒否し、初めてここを滑った時と同じにザックにスキー道具一切を詰め込みツボ足で登るというスタイルをここでは頑固に通している。しかし久々の重荷は辛く、体が出来ていない登りは膝が悲鳴を上げた。

毎年同じような時期にここを訪れるが、今年は雪が少ないのか路肩の雪が繋がっていない、帰りに苦労しそうだと思いながら登る。ブナの森は今が新緑の真っ盛りでとても気持ちがよい。鶴間池もとても綺麗だ。

さて、いよいよ最初の難関、駐車場までのショートカットコースの急登に向かう。ここも所々雪が切れていて豪快なダウンヒルは望めない。日差しも強く日焼けが気になり日焼け止めを塗るがすぐに吹き出した汗で流れる。口を開けて呼吸していると心臓の音がバクバクと聞こえる。河原宿への急登の下で一人のテレマーカーが休んでいた。話をすると腰を痛めて登るのを諦めたそうだ。今日は4人くらいしか上に行ってないと言うこと。昼までどこまで行けるか出発する。

スキーで下るのは最高の斜面なのだがここを登るのは辛い、300歩登って休むを繰り返しやっとの事斜度が緩む、振り返ると霞んではいるものの神室連峰が見える。変な話、地球が丸いのが実感できる場所だ。
暫く進むと河原宿の小屋の屋根が雪面にひょっこり見える。すぐ側にあるのは去年造ったトイレだろう。上を見上げると蜘蛛の子を散らしたように大勢の人が下りてくる。尻セードや走って来るもの様々だ。時間は少し早いようだが右側に水の流れを見つけ昼食休憩とする。

普段はビールなど行動中は呑まないのだが、一年でこの日だけは特別、雪でキンキンに冷やしたビールは格別で一気に飲み干す。お腹が膨れれば眠くなり暫し昼寝が気持ちよい。

さてこれからが核心部、心字雪渓の登りが待っている。振り返ると後続の登山者が結構登ってくる。上を見ればすぐ届きそうだがなかなかこれが届かない、日頃の運動不足を痛感する。今の時期、滝の小屋から上は雪渓が繋がっているところはどこを詰めても上に着く。もっとも途中から右に行きすぎるとソロバン尾根の側の雪渓を登ることになるが、スキー目的なら問題あるまい。ビールで千鳥足となった身には辛い登りだ。100歩登って休むの繰り返しで目指す雪渓末端は未だ遠い。振り返ると後続がすぐそこまで迫って来ている、追い立てられる気持ちで何とか雪渓末端に到着、高度計によると2000mくらい、少し休憩して空身で伏拝岳に向かう。

相当疲れているのか空身でも思うように体が動かず後続に抜かれる。久し振りの薊坂はこたえる。外輪部分は花こそ咲いてないが完全に夏道だ。笙ヶ岳東面の雪で覆われた一枚バーンがかっこいい、鳥海湖も未だ湖面は雪で覆われている。鳥海ではここから眺める景色が四季を問わず一番好きだ。時間を忘れて見入ること暫し、13:54外輪到着、伏拝岳まで登り新山や千蛇谷を見渡す。千蛇谷の雪も例年より少ない気がした。見慣れた景色とは言え心が落ち着く光景だ。

ふと気が付くと寒い、いくら晴天だろうと稜線でTシャツ一枚ではあたりまえか、そそくさとスキーデポ地まで下山、デポ地には秋田からだという人が仲間を待っていた。彼等はコースを間違えてソロバン尾根を登ってしまい変だと気付いていったん下ってまたここまで登り返したという強者達、三人は上に行ったが一人だけ精根尽き果てここで待っているという。

スキーの準備をしながらそんな話をしていた。今年は雪が少ないためかクレパスの数がやたら多く、上から眺めても縦横無尽に斜面を切り裂いている。見通しの効かないときは注意が必要、外輪の急斜面をクレパスまで小回りで注意深く下る。いったん止まってクレパスを迂回し後は広大な斜面を自由気ままにすっ飛んでいく。上部は適度に雪が締まり結構スピードが出る。中間辺は腐れ雪でスキーに所々急ブレーキがかかる。途中何回か休憩し斜面を振り返り一人悦にいる。今年最初で最後のスキーは気持ちよい。

最後の大斜面を下ると右にトラバースし所々雪の切れた車道のショートカットコースを下り最後はスキーを担いで車まで、これがなければ結構楽しめるのになあ・・・


    Photoへ