夏色の世界

1999.3 by Tarumi


雨が降りやんだ 水煙る町へと
君の影だけが光の中とけてく

あとに残された 濡れた空気の中 僕は
あっけない恋の幕切れを一人受け止める 夏の日

君が見たかった絵葉書の景色は
今も鮮やかに この胸に残ったけど

湖に映ったあどけない空の青に
二人心ときめいて見つめてた
あの瞬間(とき)は遠い風の中

君とかけぬけた 夏色の世界は
揺らめく僕らを 強く抱き寄せて
いつまでも続いていくはずだった
急に降り出した 夏の雨に追われて
冷え始めた何かを隠すように
急ぎ足であてもなく あの場所を発ったんだ

バスが来る前に 君が立ち去ったのは
空の輪郭がまぶしすぎたせいさ

あんなにはしゃいだ 旅先の山も木々も
いつしか夏の思い出に変わってく
ゆっくりと 風がめぐるように

君とかけぬけた夏色の世界は
ずっと心の森にいきづいて
今日の風を揺らしつづけるだろう
空は燃えるように色を変えていくけど
僕は一人ここに立ち尽くし
頼りなげに消えていく あの虹を見ていた


たいてい曲をつくるときはメロディ先行だけど、この曲はサビの頭のフレーズが詞、曲同時にできた。
で、絵葉書、湖に映る空、森、虹など、夏の色を連想させる小物を意識的に散りばめながら作ったって感じ。
情景描写に心理描写を重ねる表現方法が結構好きなので、この曲はそうした試みがうまく行った割とお気に入りの曲。