恥ずかしい限り
 あなたは部屋のソファーに座っています。 そこに知らない人とはいえ年配の人が入ってきて握手を求めた時、あなたならどうしますか。 煙草を吸っていたとしたら、ガムをかんでいたとしたら、・・

  四月に起こったイラクにおける日本人人質事件。 事件の解決後、「自己責任」論が叫ばれ、自衛隊撤退を要求した家族たちに非難が集中しました。 でも女性は傷ついたイラクの子供たちを救うボランティア活動を、未成年者は劣化ウラン弾の実態を調べるという活動をしていたのです。 私などとても出来ない活動で、彼らの行動に対する評価は分かれるところだと思います。

 しかし、私たちが一番驚いたのは解放直後の彼らの態度でした。 解放された三人が座っているところに聖職者が現われ、カメラマンと称する男と握手しようとした時、カメラマンは左手に吸いかけのタバコを持ったままで立ちあがりました。さすがに傍の人が注意をしたので、タバコを灰皿に入れてから握手。 続いて聖職者が未成年の男に手を差し出した時、その男はソファに座ったまま手を握った。すると聖職者はたぶん礼儀を教えるためか彼の手を引きずりあげたので、それにつられて立ちあがった。 もう1人の女性はガムらしきものをかんでいました。 握手の間もその後のインタビューの間も口をぐちゃぐちゃしたままでした。
 
 テレビを見ていて唖然としました。 私たち2人して「なにあの態度!」と思わず叫びました。 年長者、しかも自分たちの命の恩人が部屋に入ってきて、その人から手を差し伸べられているのにソファーから立ち上がろうともしない。 同じ日本人として恥ずかしくなりました。 でもそれに対する非難などの言葉は全くあがりませんでした。

 ところが、先日いただいた実践倫理宏正会の「倫風」7月号で、加地伸行氏が
古典に学ぶ というコラムの中で、彼らは「どこの国にもいる、社会生活のイロハも分かっていない連中だったのだ。そういう人間を弁護し、正しいとし、いや、褒めさえしていたのが、テレビのニュースショー番組の出演者であった」と非難しておられた。 この方がどんな人か知りませんが、同じ感想をもたれた方がおられたと知り、少しほっとしています。


  塾長のつぶやき      
ホーム