家族一緒に 2002/1/1
"Reading is the foundation of all learning, and research tells us that children whose families spend
time reading together know more words than
other children," Secretary Paige said. "During the next several weeks, children and families will be enjoying
their winter breaks together. And this is a great chance for
them to spend this valuable time reading together with children. I encourage all Americans to fill their holiday season
with opportunities for learning by reading together."
(読書は全ての学習の基礎です。調査によると、家族が一緒に読書時間を持つ家庭の子供はそうしない子供たちより語彙が豊富です。これからの数週間、子供も家族の人も冬休みを楽しまれることでしょう。この貴重な時間を子供と読書をして過ごすのに絶好の機会です。この休暇を一緒に読書することによって学習する機会にしてくださるようお勧めします。)
アメリカのペイジ文部長官が12月17日に発表した国民への呼びかけの一節です。(日本の文科省大臣はこんなことを呼びかけたことがあるでしょうか。) そして、文部省のホームページから、全国図書館連絡会や各種団体等が選んだ「推薦図書」を検索できるようになっています。アメリカではこのように国語の位置付けをはっきり打ち出しているのに対し、日本の文部科学省のホームページを見ても、読書や国語の話など全く出てきません。こんな姿勢だから、国語の時間を減らしてでも小学生から英語教育を始めようというとんでもない方針が生まれてくるのだと思います。
教養教育のあり方を審議中の中教審の教育制度分科会は、教養の基礎として国語の力こそが重要だとして、親が本を読み聞かせたり、学校が必読書を決めたりすることで「本を読む子供」を育てるべきだとする答申案を策定中ということですが、一方で国語の時間を減らしたのでは一貫性のない姿勢と言わざるを得ません。
先日、高校1年クラスで、この一年間に何冊読書したか尋ねたところ、0とか1冊という答えが圧倒的。
それも夏休みの読書感想文の宿題で仕方無しに読んだもの。 こんな状態だから、ペイジ長官の言うように語彙が貧弱で、ちょっと漢字で言うと「言葉自体の意味が分からない」という。驚いたことに「現代文の重要単語集」というのがあって、それを覚えさせられているそうです。ここまで指導しないと日本語が理解できないという証拠といえます。また、英文を訳す時、内容に合った日本語にならない生徒が続出しています。次の文は高2のものです。
Unless we take good care of our teeth, we may have them all pulled out and have a set of false teeth made to replace them.
「歯の手入れをちゃんとしないと、全部抜いてもらって偽りの歯と取り替えてもらわなければならなくなるかもしれない」という訳文を書いた生徒が実に8割。常識的にみて「入れ歯」と訳せないというのは国語力の欠如としかいえないと思います。でもこんなことはしょっちゅう起きます。
今、私は高校生クラスに危機感をもっています。こんな貧弱な国語力では英語が理解できるわけがないと思うからです。常にお話していますように「英語力も国語力」なのです。
天気や、道案内、買い物、レストランでの注文といった程度でよいと思う人はどうぞ駅前留学でもしてください。
前号でお知らせした進研模試で砺波高校1番や7番という生徒は国語もほとんど1,2番です。12月から「コラムの書写クラス」を設けましたが、参加者は初回に1人あっただけ。いいアイディアなので各自が家で実行してくれているものと期待していますが、どうですか。御家族の今年の目標にしては如何でしょう。1紙でなく、5紙ものコラムを読み比べると実にいいものに出会えます。
年末の高3クラスで「僕の高校生の頃は、高校生、特に大学に進学しようと考えている生徒は最低こういう本を読んでおかなくてはいけないといった社会的な常識みたいなものがあったから必死で読書したよ」と話すと皆「へー」と感心して聞いていました。携帯、漫画、ゲーム、テレビ・・全否定はしませんが、ぜひ読書を加えてください。ぺイジ長官の呼びかけのように「家族一緒に」。
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