24%の消費税     (05/7)

 北欧4カ国(フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク)の第一印象は、フィヨルドに代表される自然の雄大さと美しさ。
 「この美しさを見られたので、もう思い残すことはない。 いつ死んでもいい」と言った80歳のおばあさん
(偶然に話しかけた日本人)の言葉は少し大げさとしても、北海道なども及びもつかないものでした。 フィヨルドのクルージングも美しかったですが、オスロからその地域にバスで向かう途中の、山の連なりを映してゆったり流れる川の色の変化のさまに、「すごい。すごい」の連発でした。 一緒にツアーをしていた人たちはほとんどが眠っていましたが、私たちはこの文字通り「筆舌に尽くしがたい」色を脳裏に焼き付けておこうと必死で車窓の外を眺めていました。 それを皆さんにお伝えできない自分の表現力のなさが悲しくなります。 写真を300枚以上撮ったので、もしご希望の方がおられたらいつでもお見せしますが、私のばかちょんのデジカメではその美しさと雄大さはとても写しきれていません。 皆さんも一度は訪れられることをお勧めします。


  右は、氷河の割れ目に差し込んだ陽の光が生み出した吸い込まれそうなブルー





 上は、ガイランゲル・フィヨルドから南部の氷河に向かう途中の川面に映る山並み

 デンマーク以外は、日本とほぼ同じくらいの面積のとこ ろに、日本の
20-24分の1 の人口しかいないので、自然が残されているのも当然としても、自然だけでなく、電柱や電線がない、広告看板がまず見当たらない、建物の高さがほぼ一定に制限されているなどのために、どの町も写真を撮りたくなるほど美しい。 成田に帰り着いて電車の車窓から見える無数のけばけばしい広告、不ぞろいなビルや家々、緑の少なさなど、コマーシャルや効率だけを追求している都心の姿などカメラを向ける 気にもなりませんでした。

 自然や町の美しさとは裏腹に、物価が高いことには驚きでした。 皆さんに出した絵葉書と切手代だけで約340円、冷水ボトル(0.5)400円、ビール小瓶850円前後、といった調子です。 それもそのはず、消費税が24%(食料品は12%)だそうです。  5%の消費税の値上げでもめている日本と比べるどころの話ではありません。 現地ガイドさんの説明では、所得税等が給与の約50%。 国民総生産高は日本より少し低いことから考えると、給与レベルも日本とほぼ同じと思われるので、それに 50%の税金を取られたのではたまったものではないはず。 ところが、医療費は初診料以外、どんな手術をしようが長期入院しようが無料、大学を卒業するまで学費は一切無料、病気や育児休暇中は給与の6-8割を保証などなど、いわゆる高負担高福祉が実現されているので、国民の大多数の間では余り不満がないということでした。 

 日本は現在、何事にも自己責任が強調され、能力主義、成果主義が幅を利かせ、社会格差が生じ始めています。 老人や弱者を騙してでも金を儲けようとする「自分だけよければいい」「お金が全て」という利己主義、拝金主義が横行していますが、悲しい限りです。 労働の対価である給与も社会に還元し、その代わり、万一の時は社会から正当なサービスを受け取るという考えは日本にはなじまないのでしょうか。


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