コミュニケーション能力を高めよう
「下流社会」― 新たな階層集団の出現
三浦 展 著 光文社新書 284ページ
各世代のサンプリング調査から分析した論文。 年間総収入が300−350万円以下を下流層としているが、著者によると、こうした所得の二極化だけでなく、コミュニケーション能力、働く意欲、学ぶ意欲、消費意欲など、積極的に生きようという「人生に対する意欲」そのものが低いことが、結果として低所得につながっているという。
「自分らしさ」や「自己実現」を求めて、仕事においても自分らしく働こうとするが、それで高収入を得ることは難しいので、低収入となる。 よって生活水準が低下する、という。 「自分に合った仕事が見つかるまで」と言って転職を繰り返したり、フリーターを続けているうちに、ちゃんとした仕事につけない。 努力をして向上しようという意欲も低いので、結局、ニートになったり、コミュニケーション能力が低いので、引きこもりになる。 食事や健康に対する意識も低く、コンビに弁当やカップラーメンという生活になって、一層の下流へと転落していく。
著者自身認めているように、サンプル数が少ないという問題点は残っているが、現状分析という点では、やはり話題になるだけのものはあると思います。 塾生たちを見ていても、例えば単語テストをする時に、成績の低い子供ほど「今までどれだけ覚えているか実力を試すんや」と言って全く勉強してきません。 何かへ理屈をつけて逃げを打つのです。 また、友達と集まっても、ゲームや形態に夢中となって、お互いに話をすることが少なくなっています。 こうした状況を踏まえ、高岡龍谷高校では2年前から「コミュニケーション」という講座を設けて、全生徒に指導しているそうですが、時機にかなった取り組みだと思います。 お正月を機に、テレビを見ながらではなく、話をしながら食事をするという昔ながらの「一家団欒」を取り戻してみてはどうでしょう。
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