生活改善なくして学力向上なし      (03/7)
 「百ます計算」で有名な蔭山英男先生(現広島県尾道市立土堂小学校長)の近著「学力は家庭で伸びる」(小学館)を読みました。 わずか170ページの小冊子です。 とても読みやすい本で、待合室のテーブルの上においてあるのですが、子供たちは全く興味を示しません。 内容は、私たちの世代のものにとってはごく当たり前だった事柄がほとんどです。 目次を見ただけで主張が理解できますので、ここに転載します。 興味をお持ちになれば子供さんに借り出すようご指示ください。
 じわじわ効いて結局「学力」が上がる16か条
1.     翌日の時間割は自分でそろえさせる
2.     宿題は食卓でさせよう
3.     宿題は親がやらない
4.     今日習ったことを口に出して読ませる
5.     「勉強しなさい」と言わない
6.     リビングに図鑑を置こう
7.     子供の前で辞書、事典を引く
8.     習い事は多くても週3日を限度に
9.     親子で週1回は図書館へ行く
10.   「何時までにやろうね」と時間を決める
11.   博物館に行こう
12.   親子で近所を散歩して地域を知ろう
13.   地球儀をテレビの横に置く
14.   鉛筆を正しく持たせよう
15.   百ます計算は効果が出るまで続ける
16.   ひとりで無理ならみんなで読み書き計算を
毎日の生活で「会話力」がつく13か条
17.   食事のときはテレビを消す
18.   ゴミ出しは子供にやらせる
19.   今日あったことをお風呂で聞いてあげる
20.   お母さんも「ハリー・ポッター」を読む
21.   お誕生会で子供を王様に仕立てない
22.   帰宅したら顔を見て「お帰りなさい」と言う
23.   出張先から子供に電話をかける
24.   壁にぶつかっても手をかさない
25.   運動会でわが子をビデオで追いかけ回さない
26.   「トイレはどこですか?」と自分で聞かせる
27.   ニュース番組を親子で見ましょう
28.   家族の予定表を冷蔵庫に貼っておく
29.   友達同士でお金の貸し借りをさせない
「自分でできる力」を育てる12か条
30.   机の上を親が片づけない
31.   サッカーの応援に毎回行かない
32.   説教は「誉める」「叱る」「誉める」のサンドイッチで
33.   上履きは自分で洗わせる
34.   朝食は必ず食べさせる
35.   ひとつ手前のバス停で降りて歩かせる
36.   靴のヒモは自分で結ばせる
37.   「子供がひとりでいる時間」をつくる
38.   自分がその日着る服は、自分で選ばせる
39.   男の子にも料理を、女の子にも修理をさせましょう
40.   小遣いは我が家の家計に合わせる 
41.   親子でキャッチボールをしよう

 「親が本気で変われば、子供も劇的に変わるのです。 学力の低下は生命力の低下にほかならないと言いましたが、家庭こそかせ生命の基盤を作る場なのです。 学力は、家庭での健全な生活習慣と大きく関係しています。・・ 生活改善なくして学力向上なし。 子供の「力」は家庭で伸びるのです。」(はじめにより)
 * 先日、中間テスト直前の確認プリントを始めようとした時、中3生の数人が「好成績やったらなにもらえる?」「キャンデー10個」と一斉に叫びました。 私は「なんちゅぅこと言うんや。君らこの前のお便り読まなかったんか。」と怒鳴りました。 「読んだ」と手を上げた数人のうち一人が「何か物を見返りに勉強してはいけない、という意味のことでした」と答えてくれました。 一人でもちゃんと受け取っていてくれたので少しばかり嬉しくなり、その子にキャンデーをあげました。
* 先日のナイジェリアでの大地震発生直後、時間前に来ていた中3生に教室にある地球儀の前で「ナイジェリアがどこにあるか知ってるか」と尋ねました。 一人は「知らん」と興味なさげでしたが、もう一人は地球儀を回してちゃんと指し示しました。 まさしく蔭山先生の指摘されていることですね。


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