やっぱり日本語だ
「外国語を身につけるための日本語レッスン」三森ゆりか著(白水社)
「母語である第一言語の土台が貧弱であやふやなものであれば、その上にのる第二言語、つまり外国語は、母語の程度に見合ったものにしかなりません。第二言語の能力が第一言語の能力を凌駕することはまず考えられないからです」
私の日ごろからの持論を論理的に記述した本を見つけました。著者は「つくば言語技術教育研究所」所長です。「存在しない思考を翻訳することはできない」(『アメリカ豊なる没落』佐藤隆三ハーバード大教授著)と信じ、「言語価値が低い“察し”の文化で育った人間が、言語にこそ価値をおいて主張する文化と渡り合う」ためには、欧米式の言語技術を身につける必要があると主張。
「“みんな”や“私たち”を隠れ蓑にせずに、自立した個人として対象となる世界を切り取れるかどうか・・・“みんな”や“私たち”という言葉を用いることによって、『私』という個人は“みんな”の中に埋没し、その責任は薄れ・・言い逃れることもできる。・・・よく分からないけれどとりあえず反対しておこうという態度は、自分の意見を表明している人々に対して失礼であるばかりでなく、無責任でもあります。・・国際社会では、自分の意見、自分の意志をはっきりともち、それを言葉で表現できる必要があるのです。そうでないと自立した一個人として認められないからです」
その具体的な訓練方法を易しく解説しています。1.主語を意識する 2.“あれ”で済ませずその中身を認識する 3.質問の内容を具体的に考える 4. 5W1Hを明確にする ことを基本に、かみ合った対話のトレーニング法、わかりやすい説明と描写のレッスン法を具体的に示してくれています。国語の苦手な子供たちにとってまさに一読に値する一冊だと思います。
これを書き終えた次の日の新聞広告に「わが子に伝える絶対語感―頭のよい子に育てる日本語の話し方」(外山滋比古お茶の水女子大名誉教授著、飛鳥新社)がのっていました。主な目次紹介に、*お母さんの“母乳語”でこころが育つ *英語の早期教育より、きちんとした母国語 *知的世界の扉を大きく開く『目のことば』 とありました。 国語教育の重要性はいくら強調してもしすぎるということはないと確信しています。
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