中年夫婦のアメリカ・ホームステイ

(16) 昼寝に使った図書館

 ワシントン大学には、図書室ではなくビル全体が図書館という建物が2棟もある。 蔵書数は聞かなかったが、勉強机もゆったりしていて申し分ない。 蔵書は自由に書架から取り出して読める。 一番驚いたことは、毎日午前零時まで開館していることだ。 私は、素晴しい ? 家があるので、そんな遅くまで利用したことはないので知らなかった。 が、学生食堂で挨拶するようになった日本人女子留学生は、「アメリカ人の学生とアパートをシェアーしているので、ほとんど毎晩図書館に12時ごろまでいる」と話してくれた。
 彼女は日本の私立大学の2年生だという。 休学してこちらに来て勉強中なのだが、こちらの勉強の方が面白くなってきたので卒業したくなったという。 「そんなに無理したら身体を壊すよ」というと、「難しいので必死に勉強しないとついていけないもの」といっていた。 彼女のような境遇の学生にとっては、勉強部屋代わりに使えるので、夜中まで開いているということは本当に助かるようだ。 ちなみに、富山大学の図書館は午後10時まで。

実は正直に白状すると、私が一番助かったのは、お昼。 日本の学生時代から、昼食後はよく教室の長椅子に横たわって昼寝をしていた。 ここの図書館には、あちこちにソファーが置いてあり、アメリカ人学生たちも時折寝そべっていたので、許されるのだと思って、私もよく昼寝したものだった。 図書館の職員から一度も注意されたことはなかったが、今にして思うと、日本国民のマナーの悪さをさらけ出し、日本のイメージを傷つけていたかもしれない。

 2004年の7月、ポルトガル旅行をした際、同国で一番古いコインブラ大学を訪問した。  ここには、18世紀初めに建設された図書館がある。 100畳ほどの広さしかないが、周囲から天井まで、金箔の装飾が施され、天井には四大陸が描かれている。 周囲の書棚には重厚な表紙の本が天井近くまでびっしり詰まっており、合計3万冊あり、全てラテン語で書かれているという。 学生たちは、象嵌を施されたテーブルで自由に読書でき、もし質問があれば、壁際にあるドアをノックすれば常駐している教授が質問に答えてくれるという話だった。 「これぞ本物の図書館」とうなってしまった。 こんなところで昼寝をする学生など生まれるはずはない。


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